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日本の対外資産の推移を見ると  2009.8.16

吉田繁治さんからのメールを紹介します。

今後の世界経済、日本の将来を予測するために。

日本の対外資産推移

・・・・・・・・・・・

(1)3月来の世界の株価(金融経済)の同時回復(15%~30%幅)はあったが、
(2)実体経済(生産・消費・設備投資)は、底這いのままです。
(3)特に米経済(1300兆円のGDP)のうち、70%を占める世帯消費(商品+サービス)は、世帯信用(ローン消費)の収縮のため、悪化を続けています。世帯信用の元になる住宅価格は、下落を続けています。

そして、次の危機が損失を先送りする機能を果たしている「デリバティブ」の危機です。今回、この構造を基本的なところから解きます。

【500兆円規模の、世界の政府対策費】
思い起こせば、世界の政府と中央銀行は「08年、09年(今年)、10年の3年間で、500兆円の対策費」を使うことを表明しています。(09年3月) 3月以来の株価は、それに反応したものです。

その概略を言えば、[政府の緊急対策資金]→[米英系金融機関・証券会社への注入]→[金融と証券による自己売買の増加]→[株価上昇]という構図です。

【自己売買】
自己売買とは、買いの委託を受けた売買(これが普通)ではなく、金融機関自身がリスクをとって、借金(信用)で買い上げているということです。資金の元は借入金ですから、満期には返済が必要で、いずれは、利益確定し、売り抜けます。その時期がいつかが問題で、次の株価危機を生むことになります。

このメールを送ったのは、アメリカの建国の地ボストンからNYへ来て、トランプ・インターナショナル・ホテルからです。セントラル・パークの南端の、コロンバス・サークルに建ちます。金ピカと自己顕示に趣向をもつ不動産王、ドナルド・トランプ(ドイツ系)がオーナーです。

以下、街を見たリアルタイムでの印象記と金融です。NYには、半年に一回は来ているので、過去の記憶と対照できます。一種の「定点観測」あぁ、あの9.11(2001年)の後と同じだと思いました。本稿は26ページです。

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 <439号:米国経済の実情と控えるデリバティブの危機>
     2009年8月17日分
【目次】
1.NY風景
2.危惧は、夏~秋の3度目の危機
3.建国記念日
4.住宅ローンの証券化は、米国にとってのマネー創造だった
5.住宅ローンのMBSの後は、ABS証券の発明
6.サブプライム・ローンとオルトAローンの開発と証券化
7.不良ローンの証券化の方法
7.CDOの開発
8.更に「シンティックCDO」を開発
【後記】
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■1.NY風景

【料金】
2008年まで、異常に料金が高かったNYのホテルも、昨年秋の金融危機以後は円安の修正(20%の円高:20%のドル安)も加わり、20%~40%は下げています。

全米と海外からの観光とビジネス客(08年は年間4700万人で5%増)が、今おそらくは20%は減ったためです。

金融景気(過剰流動性)を、不動産でシンボライズしていたトランプの会社も、09年2月には、償還期限が来た社債の返済ができず、会社更生法(連邦破産法11条)を申請しています。

客が少ないためか、顧客サービスはかつてなくいい。満面の笑みで迎えて丁寧な敬語を使い、何かを要求すると、日本の高級ホテルのように、即座で適切なホスピタリティ(応接の態度)です。

【至るところに目立つ撤退】
マンハッタンの各所に、For Rent(貸し)やLeasing(リース)と書かれた店舗やオフィスの空間が、目立つ。あの9.11の後を彷彿(ほうふつ)とさせます。

新宿に似たタイムズ・スクエア(いつもTVのリポーターが立つ場所)も、海外からの観光客が減ってゆったり歩けます。かつては、いつも人の大群にぶつかる感じの混雑でした。真夜中も、人混みだったのです。

【小売売上は10.8%減っても、まだ過剰消費】
全米の小売売上は、前年比-10.8%です。金額では、09年5月時点の年率換算で、343兆円に、40兆円も減っています。(1人当たり114万円/年の買い物:減少額は13万円:日経景気指標より計算)

全米平均で10%の売上減少は、
・業績のいいグループ(三分1:33万店)で前年並みの売上、
・真ん中のグループ(三分の1:33万店)が10%減、
・業績の悪いグループ(三分の1:33万店)の平均がマイナス20%という分布です。

20%の売上減が、あと3ヶ月(09年8月まで)も続くなら、多くは、資金問題に陥ります。それが、33万店もある。

【日本】
比較すれば、日本の消費総額は、米国の30%の約105兆円です(1人当たり83万円:直近推計)。日米世帯の可処分所得は、ほぼ同じですが、米国人は日本人よりまだ、1年で31万円も多く買い物をしています。

人口3億人の全体で言えば、約90兆円も過剰に店舗で買い物していることになります。これは、稼いだ所得ではなく負債(ローン)の増加による買い物です。

米国の貿易赤字(対外不均衡)の元になっている過剰消費がこれです。記憶すべきは、買い物額が前年比で10%減っても、まだ、ローンの負債が増える過剰消費であることです。

【クレジット社会の米国での、カードの与信減は重い】
現在、ローン会社が与えるクレジットカードの与信額は、減っています。これは今後の消費減を示します。米国はクレジットカードやローンで買う国です。AMEXの延滞率は、昨年12月時点で、すでに10%超と言います。

【NY】
NYの店舗は、おそらく15%程度の売上マイナスでしょうか。(店舗と店舗の退店を見た印象です) 金融機関の巨額ボーナスがなくなり、至る所で、数千人、数万人のレイオフが増えているからです。高級車BMWも、新聞広告では、安売りしていました。

レストランも、往時(2008年8月まで)からすれば、平均で、相当数(30%くらい)の客数が減っています。リーズナブル(納得価格)で味がよく、量が多いところ以外は、北新地や銀座に似て、退店寸前でしょうか。

大手小売では、ウォルマートとコストコだけが好調。家具のポタリーバーンや、ウイリアムズソノマ、そしてホームデポを含む住関連の店舗は、壊滅的でした。ファションも同じです。50%や70%のバーゲンが多い。ひどいところは、最大90%のバーゲンです。

【不動産と小売】
NYの不動産は海外からの買いも多く、2ヶ月集計が遅れるS&Pケース・シラーの住宅価格指数では、ロス地区ほどは下げていません。

[データ:00年100→06年215→09年4月170(マイナス29%):他方、ロス地区は同月で、ピーク比マイナス42%です]

毎回行って、経済指標として見るソーホー(SOHO)地区は、店舗の空きは増えていても、リース価格はまだ30%程度しか下げていない印象です。

今回の金融危機の起因だった不動産価格低下は、底打ちでは決してない。NYの不動産価格は、あと15~20%は下げるでしょう。

ソーホーの街路の客数は、日曜日なのに半減の印象でした。15年前の1990年代のソーホーに、タイムスリップした感じを受けました。SOHOは、原宿に相当するでしょうか。

近くのユニオン・スクエアは、CDのバージン・メガストアや、家電のサーキット・シティなど、大型店の退店が多い。外から見れば、ビルの内部は、壁も剥(は)がれた空洞です。

前年まで、既存店売上で+5.1%(前年比)と好調を続けていたオーガニック食品(有機栽培)のホールフーズ・マーケット(商品価格が高い)も、マイナス5.1%(既存店:2月~4月)です。10ポイント強の、売上低下です。

●マスコミが言う、小売統計での「既存店売上の前年比」では、店舗を閉じて撤退した店舗分は入っていません。現存する既存店(較的に好調なところ)の、前年比の売上だけを見るからです。

住宅とは異なる「商業用不動産(オフォス、ショッピングセンター、店舗)」の価格下落も、住宅価格以上に、今、問題になっています。

【余談:日本文化】
そうした中ユニクロの旗艦店(大型のフラグシップ・ストア:SOHO)は、勢いを保っています。

(注)しかし、いつ行っても、入口に長い行列ができていた五番街のアバークロンビー&フィッチ(A&F:アパレル)では、列が消えています。A&Fでは、毎月20%くらい売上が減っています。

漢字やアニメのキャラクターをデザイン化したものも目立ちます。タトゥー(刺青)にも、意味のない漢字が見えます。「台所」や「頻尿」とか・・・意味を知れば、どう思うでしょう。

鮨はすっかり「インテリ・環境派・低脂肪の食」になっています。食でのBMW(小型高級車)のポジションでしょう。

銀の牙をむき出したようなフロントグリルで、米国のエネルギー感を象徴していたリンカーン・コンティネンタルは、いかにも重すぎます。これが、消費を決める「共通気分」です。

本当は今「日本が、恰好がいい」と思われているのか。時々、国粋主義者になる日本人としては、気分がいい。売れているのはトヨタの環境車プリウスとか。過剰な金融景気の2000年代(金ピカの時代)は、明らかに終わっています。

それにしても、至るところ改装中や売り出し中のビルが、目立ちます。不動産投資は、景気の遅行指標です。強気の見通しのとき企画されます。1年後に売り出す頃は、価格下落と破産に陥る。

この商業用不動産の価格下落が、今の危機に加わっています。街角の空き家の激増を見て、「あぁ。これじゃ、家賃は下げる」と思ったのです。

NYの不動産は、東京より1.5~2倍は高価になっていたので、今より更に下げて、世界水準で頃合いの価格に、落ち着くでしょう。現地の人々にとっては視界不良でも、バブル崩壊を経験した身には、感覚的に了解できる気がします。

リース価格の低下が底打ちし、これらの空き家に、新たな出店があるのはいつでしょうか。2010年を超えた、相当に先でしょう。

【まとめ】
端的に言えば、「1929年~33年のような大恐慌(信用収縮)と、25%の失業、および50%の所得減(GDP減少)は、政府マネーの投入で避けられている。しかしじりじりした、上げれば下げ、下げれば部分的に上げる低空の価格波動が続く。」 これは、日本と同じです。

■2.危惧は、夏~秋の3度目の危機

こうした中での、最大の危惧は、2009年の8月~9月に予想できる「デリバティブ(金融派生商品)の価格崩壊」による金融危機の第3弾です

【現状】
今、金融機関は、あらゆる手段を使う政府公認の「粉飾決算」で、偽装されています。その損は、数か月後の決済日が来れば、P/L(損益計算とキャッシュフロー)の実損として、明らかにならざるを得ません。

大手金融機関の経営者は、その前に、偽装決算を元に増資し、高いボーナスをもらって、遁走(とんそう)でしょう。ゲンキンなものです。権限がある経営者がもつべき経済倫理は、欠けてしまっています。背任や犯罪で摘発される違法でないなら、どんなに汚い手段も、いいとする。

1997年の山一証券等の、不良債権の子会社への飛ばし発覚から来た、急な破産と、善良な野沢社長の記者会見を思い出してください。

●危機が終わった、景気が底打ちと言われるのは、政府容認の、公表B/Sの粉飾からです。これは、政府・中央銀行によるマネーの輸血(貸付)と血圧の偽装で、突然死に至る激しい出血を補ったという意味です。

見えない内部(本当のB/S)に空いた空洞は、埋まってはいません。会社でごく少数のトップマネジメントは「空洞の所在」を知っているはずです。社員は、幹部を含めて知りません。実は、理由が分からず、株価が下げるときが危ない。

●デリバティブ(主は金融保険)の、迫りくる決済日を知るトップマネジメントが逃げるための(インサイダーの)、「自社株の大量売り」がその兆候です。デリバティブは、多くが「オフ・バランス」であり、表面が偽装された金融機関のB/S(貸借対照表)では全く見えません。

(補注)米国の中央銀行であるFRBすら、200兆円($2兆1526億)と昨年来2倍になった信用(資産・負債)とは別に、500兆円ものB/Sに記載されないオフ・バランスの保証勘定を持っています。英語ではありますが、ここの、「Memo」が、簿外でFRBが保証している証券です。つまり、マネー供給、信用供給での700兆円規模の「全開」です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Federal_Reserve_System


デリバティブには限られた当事者(相対取引者)しか、中身を知らない双務契約があります。当事者も退職し、外部者や上司には意味が不明な時限爆弾に似た契約書が残っているだけかもしれません。

●こうした、不動産や債権、あるいはキャッシュフローを担保にしたデリバティブ(Asset Backed Security)が、次の危機の、引き金になるでしょう。原資産(住宅ローンや他の債権)の価値下落が止まらないと、デリバティブの隠された損は、拡大し続けるからです。

【低い自己資本比率】
今、米欧の金融機関の自己資本比率では、政府が、将来のストレスに対し「4%基準で健全」とハードルを低めています。4%は自己資本に対し、負債が25倍であることを示します。

●1億円の手元資金で、25億円を借り、投資しているのと同じです。わずか、4%の投資証券の価格下落、あるいは所有証券の、4%の損失の表面化(決済日到来)によって、連鎖危機が再発します

連鎖になる理由は、金融機関の間の、CDS(債務保証保険)やCDO(債務担保証券)のデリバティブが、その相手先と双務契約であるためです。

それに、もっとも巨額な、長短の金利をリスク率の算定で交換する金利スワップ(長短金利交換取引:$50兆)がある。

いつまで、ロールオーバー(決済の延期)が可能か?

●実勢価格が下げた住宅証券やデリバティブは、今はまだ時価評価されず、価格が膨らんだままになっています。

米欧の不動産価格が上がり、ローン債権が健全化する時期が来ない限り、損は回復できません。つまり不動産価格が下げ止まって、上がるのはいつかと、債権・債務(=借金)の質がよくなるのはいつかということです。

こうした巨額含み損は、いつまでもは、隠したまま続けることができません。09年3月来の株価の、約30%上昇によって、その損を埋める策がとられたのですが、空洞は埋まっていません。

金融商品での、時価評価のない利益計上は、無意味なものです。生理的食塩水の点滴で、血圧の下落が止まったというにすぎない。

■3.建国記念日だった

【風情】
この国では、レイオフがすぐ行われるので、社員やワーカーは日々増える失業が、自分の身に迫る恐怖になっています。(注)失業が10%を超えた欧州も同じです。調査では、三分の1の人が「失業の不安」を抱えていると答えています。これが、実体経済の実勢です。

2008年2月は4.6%(ほぼ完全雇用で好況)だったNY州の失業率は、09年2月に8%を超え、今は10%を超えているでしょう。

失業を逃れようと、昨年より懸命に働くといった印象です。いろんなところでの、顧客サービスの懸命さは、自分のレイオフを避けるためでもあるでしょう。実に、様変わりなのです。

マンハッタンのイエローキャブ(濃い山吹色のタクシー)が、あちこちのタクシー乗り場で、車列を作り、客待ちしている風景は、かつてなかったものです。この30年、約60回はNYに来て、タクシーの客待ち車列を見たのは、初めてでした。

【記念日】
7月4日は、建国記念日でした。ハドソン川の花火を見るため、チェルシー埠頭から500トンくらいの船に乗り、ディナー・クルーズに出かけました。着飾った家族づれや恋人たちが多かった。(注)建国記念日の前後は早い夏休みの開始もあって、例年なら、小売・レストラン・ホテルの売上は上がる時期です。

食事はビュッフェ・スタイルでしたが、DJが入っていて、狭いフロアで人々が踊る。見事に乗ったリズムと声で歌うのは、先ほどまでワインなどを運んでいたウェトレスたちでした。どちらが本業かと思ったくらいの技量です。おそらくは、NYに多い、明日を夢見る歌手の卵でしょうか。

花火は、大砲のような轟音ではじけ、約30分間、無数の燦(きら)めく流星を蒼黒い空に、ばらまきました。

満月で、青・深紅・白色にライトアップされたエンパイアステート・ビルが見えた。海からのマンハッタンの高層ビル群と、洋風花火の組み合わせは、なんだか、乾いた情緒です。

満月とNYには、似合わない違和を感じます。米国人には、月見はない。

【国家間の自由の意味】
新大陸のアメリカ13州は、英国が支配する植民地でした。独立(1776年)は、英国による課税(富の搾取)からの「自由」を意味していました。初代大統領はジョージ・ワシントンです。

●米国の独立そして自由が、宗主国(英国)による税の搾取を主幹とする植民地支配との戦いだったことは、記憶に値することです。

米国が言う自由には、具体的な意味があります。(注)関税自主権や、独自の通貨発行権も、独立を意味します。円はまだ、ドル債券・証券を、政府や金融機関が自由には売れないので、米ドルの準通貨の位置です。(予告)マネーの根源も、いずれ追求します。

【準独立の経済大国が日本】
今、米国と日本の関係ではどうか?と思うのです。戦後の占領は、形式上はサンフランシスコ講和条約(1951年:条約の全権大使が吉田茂首相)で終わっていますが、完全な独立国かと問えば、日米安保での核兵器の、不明瞭な問題を含め、疑念を感じます。

首相は、今も、事実上の参勤交代です。江戸幕府(米国)とその支配下にあった藩(日本)の関係に類似します。米国で褒められると、極度に相好を崩す情けなさをもつのが、自民党の諸大臣と日本の歴代首相です。メディアも、です。

読売の正力松太郎氏が、岸首相とともに、米CIAから利権をもらった隠れエージェントだったことは、米政府の文書公開で明らかになっていて有名です。

首相の選定や解任には、自民内の勢力を通じ、今も米国政府の意向が大きくが絡みます。武力の頂点である核兵器の密約も、明らかになっています。

(注)密約は、お互いの国家が約束した成文条約とは異なります。本来は、内閣が変われば、無視できるものです。決して、恐れることはない。米国といえども、密約の存在を盾(たて)に、要求はできません。政権が民主党に変われば、無視していい。

形式と実態は、ダブル・スタンダードで異なります。それにしても日本政府は、アジアでは妙に居丈高になるのに、対米ではいつも背筋が伸びていません。年輩の政治家が、敗戦と占領を引きずった旧人類だからでしょう。(注)その点で、若い民主党に期待します。

●多くがドル建ての対外債権(海外国債・社債・住宅証券等;直接投資を含んで約519兆円:08年末)の運用と処理にも、絡むことです。この面では、中国のような、「対米主体性」をもった自由ではない。

対米主体性をもつことは、今日からでも可能です。その障害は、官僚の意識の中にあります。

占領下の意識をひきずって、「これは、**内閣が交わした対米密約ですから・・・」と、大臣や首相に迫る。その点で、内々の効力があるだけです。

このとき、大臣や首相が、国益のために、自分は密約を無視するという態度をとればいい。仮に、文書があっても、それは密約ですから、無効です。(民主党への提言)

08年は、610兆円から519兆円へと、91兆円分もの対外国富が減少しています。この610兆円(世帯当たり換算で1200万円)は、輸出振興による経常収支の黒字が、生んでいたものです。

米国にローンをつけ、現金を受け取らずローン証券を受け取って、商品を渡していたことと同じです。これらローン債権の累積残が、ほぼ、上記の対外資産であり、証券の形をした対外金融資産です。

日本の財務省が、そのうちの税府外貨準備分を売れば、マーケットでの価値(時価)が暴落しますから、売るに売れないとされている証券です。
http://www.mof.go.jp/bpoffice/bpdata/zandaka.htm

●戦前の基軸通貨国だった英国と、戦後の基軸通貨国である米国で、非公式に伝承される金融の経済学は、「基軸通貨国である限り、貿易赤字と経常収支の赤字は、国益になる。貿易黒字が損になる。相手国は輸出する商品の代わりに、「政府や企業が紙に書いた数字(=$証券)」を、いくらでも喜んで受け取るからである。」ということです。

ここを知らねばならない。日本と中国が、$証券を増やして持ち続ければ、国民に損を与えます。

●今まだ、ドルの暴落が起っていない原因は、最大の経常収支黒字国になった中国が、ドル国債と社債を買っているからです。(09年7月時点)。中国がドルを売らない理由は、元高になると輸出が激減し、失業が増え(08年末で9%:1億人)、政権に打撃を与える社会不安(暴動)が高まるからです。

中国が、日本より先に、将来の損を恐れた売りに転じれば、米ドルとドル債は暴落し(円では20%は下げ)、米国の長期金利は上がります。

次期の民主党政権は、中国がドル債の売りに転じる前に、日本の国益(=国民益)のために、政府(財務省)が外貨準備としてもつ約100兆円のドル証券を、周到に売り抜けることです。

それが、新政権の最大の「財源」になります。これが、対米での自由の意味です。そしてドルを買う中国を「国際社会に対する大いなる貢献」と讃えればいい。理由として、政権に就(つ)いて、本当の政府の金庫を見ると、日本政府は、自民党が作った財政赤字の累積(1000兆円)のため、ドル債を持つ余裕はないと言えばいいのです。(提言)

以降では、今後の推移を想定するため、前記のようなデリバティブである「資産担保証券(Asset Backed Security)」の、発展経緯と構造を基礎から見ます。

起点は、1970年代に始まった住宅ローンの証券化と転売でした。わが国では、なじみの薄いものですが、

・これを知っていないと、金融における危機の本当のところが見えないからです。

わが国のバブル崩壊は、不動産と株の値下がりで単純なものでした。

米国バブルの崩壊は、今はまだ隠れていますが、いずれくる複雑なデリバティブの崩御に帰着するでしょう。

以降では、それを、可能な限り単純化して見ます。今、早ければ8月にも迫り来る「第3次の危機」を感じているからです。

■4.住宅ローンの証券化は、米国にとってのマネー創造だった。

【伝統的な、過去の住宅ローン】
伝統的な住宅ローンは、住宅ローン会社や銀行が、ひとりひとりの顧客から住宅の担保をとって、担保評価額の7掛けや8掛けの金額を貸すものです。個人は20%~30%の頭金を準備しなければならない。わが国の住宅ローンが、これです。貸した金融機関は、20年や30年という長期をかけて回収します。

●伝統的ローンでは、住宅ローンの貸し出しが、急に、大きく増えるということはない。そのため、住宅価格の値上率も、抑制気味になります。ただし低金利で住宅ローン金利が大きく下がるとき、住宅価格にバブルが起こりやすくなります。

【1970年代に始まった住宅ローンの証券化】
ローンの回収リスクを計量する金融工学を応用し、米国で住宅ローン債権の証券化が始まったのが1970年代です。

最初、政府系ローン会社のジニーメイ(連邦政府抵当金庫)が開始します。MBS(Mortgage Backed Security:住宅抵当証券)と言われます。

●MBSは、一戸一戸のローンではなく、信用度(回収リスク)が類似したローンをパッケージにした「MBS証券」とし、機関投資家(年金基金等)に販売するものです。

住宅ローン会社は、そのローンをまとめて、MBS証券にして販売すれば、顧客からの長い期間がかかる回収を待つことなく、次のローンを貸し出す原資が入手できます。

しかも回収のリスクは、その証券を買った国内・国外の機関投資家が負うことになります。

住宅ローンを組むローン会社や銀行は、国債より金利が高いMBSが、機関投資家にどんどん売れたため、いくらローンを貸しても、資金に困ることはなかったのです。

【MBSは、米国にとってのマネー創造でもあった】
このMBSは、米国にとっては「マネー創造」でもあります。

●例えば100億円の住宅ローン債権(貸したときは100億円現金の減少)は、MBS証券として売ると、即刻、100億円の現金が再び手に入ります。ローンを貸したとき消えた現金が、回収されるからです。

MBSを買った機関投資家では、買ったときは現金が100億円減って、MBS証券が資産として計上されます。MBS証券は、住宅ローンが正常に利払い・返済される限り、100億円の価値をもって、流通します。

買った機関投資家は、それを担保に、100億円の現金を調達できます。例えば、貿易黒字でドルの現金が貯まっている日本や中国に売ってもいい。あるいは担保にして借りてもいい。機関投資家も100億円を得ます。

こうして、
・MBSを発行したローン会社には100億円の現金が残り、
・それを買った機関投資家も、そのMBS証券を日本や中国、中東に売れ ば、100億円の現金に代わります。

米国の金融では、(数字は事例)
(1)100億円の住宅ローンをMBSとして証券化し、
(2)政府系ローン会社の保証で格付けがAAAの有価証券(国債並みの
  信用度)として販売し(100億円の現金になる)、
(3)それを買った人も転売、あるいは担保とすることによって(100
  億円の現金になって)、
(4)合計では、200億円の現金が、創造されたことになります。

この200億円は、株や他の証券(社債等)にも投資できるものになる。

こうして、証券化で増えた現金の再投資によって、米国は1990年代以降「資産が高騰する資産インフレの経済」になって行きます。

ローンの負債を証券化して売ることで、現金が回収できたからです。

【確認】
伝統的住宅ローンでは、借りた顧客からの現金回収に20年、30年と長期がかかりました。しかしMBSとして証券化されて売られると、米国の社会全体で見れば、即刻、その2倍の現金に変わる。

米国の住宅ローンの総残高は1000兆円(日本の5倍)くらいですが、そのうち500兆円分は、MBS化され、転売されています。これによって、膨大な額の現金が、創造されたことになる。

現在のようなFRBによる200兆円の信用創造(要は貸し付け)がなくても、証券化されたAAA格のMBSが売れる限り、米国は海外に証券を売って、国内のマネー創造に困らなかったのです。

■5.住宅ローンのMBSの後は、ABS証券の発明

住宅ローン証券が、国債並みのAAA格に証券化されたあと、更に幅広く、証券化の方法が適用されます。(注)AAAとは、かつては、下落リスクがゼロとされていた証券の格付けです。

▼ABSが1820兆円もある

(1)個人へのクレジットカードの売掛金、自動車ローン、教育ローン、
(2)企業への商業用貸し付け金、
(3)車・機械・設備・工場・店舗・オフィスビルのリース、
(4)特許、音楽や著作の版権等・・・現金が回収できるものすべてが、まとめた証券化の対象となって行きます。

これらを、住宅ローンのMBS(住宅抵当証券)と区分し、ABS(Asset Backed Security:資産担保証券)と言っています。ローンの回収権を、原資産とするからです。

これらのABSは、2007年で、$19.2兆(1820兆円)に達してます。住宅ローン証券の500兆円と合わせれば、2320兆円(米国のGDPの2倍)です。

これらの巨額なMBSやABSは、「AAA格の国債並みに回収が確実な債券」として、それを買った銀行は自己資本にもでき、最近では中央銀行のFRBすらも、銀行に貸し付けするときの担保にしています。

まとめれば、「ローンの証券化+回収保証のデリバティブ」という方法で、リスクのあるローン回収権(原資産)がリスクのない証券に化けて、世界に売られていたのです。


●このMBSとABSが、米国に、膨大な現金を創造させ、株、住宅、不動産価格をバブル的に上げる元になりました。

「対外負債の$20兆(1900兆円)の何が問題か?」と、チェーニー副大統領が言ったことの背景は、元は「世帯や企業の負債である証券(MBSやABS)」が、いくらでも海外に売れたからです。

●しかし、こうした保証付きの証券も、世界の通貨に対する実効レートでのドル安の懸念が高まると、売れなくなります。MBSやABSによる保証は、ドル建て証券における「ドル安のリスク」までは保証しないからです。

FRBの、国債を買うことによる信用創造(資産増=貸し付け増)の拡大は、(何回か見たように)ドル安要素です。

さて、問題はここからです。

■6.サブプライム・ローンとオルトAローンの開発と証券化

1990年代までの住宅ローンは、ほぼ、定常的な所得がある世帯にしか貸されませんでした。2000年代に開発されたサブプライム・ローンは、当初は、住宅をもたない米国への移民(約3000万人)の、1000万軒の住宅需要を狙って、開発されています。

要は所得が低い人、あるいはアルバイト的に転々とする人、または所得証明がない人達が対象になった。そのため最初の金利を低くして、借りやすいようにした。

3年後に金利が高くなる時期は、住宅が20%~30%上がっているから、それを売って返済すれば、資産が残るとして、ローン会社は顧客に奨めています。

普通の住宅ローン(約70%)は「プライム・ローン」であり、固定金利です。定常的な所得があり、信用度の高い顧客が対象です。他方サブプライム・ローンやオルトAローンは、最初は金利が低い変動金利です。

●なぜ、住宅ローンの回収を当てにしないサブプライム・ローンやオルトAローンが、ローンとして可能だったかと言えば、2000年代は「担保となる住宅が年率で10%~15%上がっていた」からです。

借りて3年後に10%を越える金利になって、借りた人が払えないときでも、3000万円だった住宅は、3年後には3600万円~4000万円の価値に上がっている。

3ヶ月払えないときは、ドライに担保権が行使されます。ローン会社は、高くなった住宅を転売すればいい。いや、自分でその面倒なことを行う必要はない。専門の転売業者に任せればいい。

●所得が低い人または定常的でない人への住宅ローンは「住宅が1年に10%は上がる」という前提でしか成り立ちません。

しかし、こうした人にローンを降ろせば、それも「住宅需要」です。住宅需要が減らない限り、住宅価格は上がる。つまり、ローンが出れば、住宅価格は上がる。

今、サブプライムローン(残高150兆円)は危険だが、それとほぼ同額のオルトAローン(残高150兆円)は安全だとされています。しかし、これは誤りです。

オルトAローンは、通常のプライム・ローンより金利が1%~2%高いだけです。初期は、比較的に信用のある世帯に、貸された。しかし、住宅価格が高騰した時期から(2003年以後)は、サブプライム・ローンと同じように、所得がない人にも多く貸されています。

他にもっと危険なインタレスト(金利)オンリーローンも開発されています。一定期間は低い金利を払うだけで、元本の償還がないローンです。

また初年度の金利が1%~3%と低く(3000万円借りても月の支払いは2万5000円~5万円)、2年目からマーケットに合わせた変動金利になります。ところがこのローンでは、毎年のローン支払いの増加が、前年支払いの7.5%を越えないという優遇条件がついています。

前年のローン支払いが12ヶ月間で100万円なら、翌年は107.5万円がローン支払いの上限とするという契約です。なぜ、こんなことができるのか? 金利払いに不足する分を、ローンの元本に組み入れるからです。

ネガティブ・アモチゼーション・ローン(逆減価償却ローン)と言います。これは、「毎年、利払いに足りない分、ローン残高が増えて行くローン」です。

とんでもなく「不可能なローン」でしょう。ローン破産は借りたときから、決まっているようなものです。昨年はローン残が4000万円だった。翌年は、3%の不足金利分がローン残に乗って4120万円、翌々年は4244万円に増えます。

(注)信用の上限は、元ローンの110%~125%に設定されています。つまり残高が4400万円~5000万円を越えると、最高借り入れ限度に達し、世帯はローン破産します。これが、迫り来る「リキャスト(再計算)」の危機です。

これらの「破産が決まっているローン」も、8年続いたブッシュ政権は規制しませんでした。住宅価格は上がるので、借りた世帯が払えなくなれば、担保を回収して、転売すれば利益があるとしていたからです。

●重要なことを再度言えば、「支払いが不可能なローンであっても」、それが旺盛な住宅需要を生んで、ローン証券が売れて住宅ローンが出る間は、住宅価格が上がることです。

(注)今は、FRBが住宅ローン証券を買って、住宅資金を供給または保証しています。これは、日銀が住宅ローンの回収の保証をするような、異常事態です。

サブプライム・ローンとオルトAローンは、2006年には、新規の住宅ローン(約100兆円/年)の40%を占めるまでに増えます。

■7.不良ローンの証券化の方法

危険なサブプライム・ローンや、オルトAローン、そしてインタレスト・オンリーローンも、まとめてMBSとして証券化されて、販売されました。

●不良化の危険が高いものは、米国の1000兆円の住宅ローン残のうち、今は、約300兆円分(30%)とされています。しかし、現在のように住宅価格の下落が続けば、今は優良とされるプライムローン(700兆円)の部分も、不良化して行きます。

どれくらいが不良化するか不明ですが、私的推計では400兆円(40%)を越えるでしょう。なぜそうなるのか? 理由は需要と供給の関係からです。

住宅ローンが増えている間は、需要が旺盛ですから、住宅価格も上がります。しかし、一転して2007年以後のように、住宅価格が下がると、ローン破産が急増します。これは、抵当流れの中古住宅(売り物件)の増加を意味します。

ローン会社も、住宅が1年10%値下がりするという想定のときは、30%や40%の頭金(世帯の預金からの支払い)がないと、住宅ローンが貸せなくなってしまいます。抵当にとった住宅の、時価が下がってゆくからです。(注)2009年現在がそうなっています。優良な顧客ですらも「ローン」が降りにくい事態です。

以上のような、優良・不良を含む住宅ローンを、証券化するにはどうしたらいいか? ここで、CDOというデリバティブが開発されます。

■7.CDOの開発

CDOは、Collateralized Debt Obligation(債務担保証券)と言います。

・MBS(住宅ローン担保証券)は、類似のリスク率のローン債権をグル ープ化して証券化したものです。


・CDO(債務担保証券)は、このMBSを、元が分からないように更に混 合(ちゃんこ鍋に)したものを、ローンの回収のリスク率で、階層 化し切り分け(トラシェし)たものです。

優先的に回収される部分を「シニア債」と言いました。格付けはAAAです。優先株に似ていて、ローンの未回収率がほぼ20%を越えないと、その全額の回収が保証されるものです。

【1.シニア債】
分かりやすく言えば、1000億円のローン債券がある、そのうち、200億円部分に未回収や回収遅れが起こっても、上澄みの800億円の回収は保証されます。

そのため、格付けは最高でAAAの国債並みの安全度とされた。CDSでは住宅ローンだけではなく、商業ローンや、車のローン等も、混合されています。つまり、元が何か分からない。

しかし、格付けはAAAで国債並の安全度という。安全な資金運用を義務づけられる機関投資家(内外の年金基金・保険基金・政府基金)が、米国債と同等のものとして、シニア債を買っています。

【2.メザニン債】
次の部分が「メザニン債(メザニンは中二階の意味)」です。中くらいの回収リスクがある。その代わり、利回りは高い。

このメザニン債は、CDOのうち10%くらいです。リスク率が中級のものがメザニン債です。主に、高い利回りを求める英米系投資銀行やファンドが買った。

リーマン・ブラザーズ、ベアスターンズ(いずれも破産)、メリルリンチ(バンカメが買収)、シティバンク、ワコビア、ドイツ銀行、バンカメ等です。

【3.エクイティ債】
残る、もっとも大きな回収のリスクがあるものが「エクイティ債」です。これが10%くらいです。これも、主に投資銀行やファンドが買っています。機関投資家も、利回りの高さがあるので、買っています。

これら、利回りは高いが危険なメザニン債やエクイティ債を買った投資銀行は、どう処理したか?自社の資産から消すオフ・バランス化です。

【リスクの飛ばし】
非公開の子会社(SIV:Structured Investment Vehicle:特別投資目的会社)を作って、 時価がないので自己計算で割り引いて売り、現金を得て、オフ・バランス化しています。つまり「飛ばし」です。

これで親会社の資産は、見かけ上はきれいになる。本来、危険な証券が集まったSIVと親会社は、連結決算しなければならないのですが、米政府は「非連結を容認」しています。

つまり親会社のバランスシート(貸借対照表)を見ても、危険な証券は見えません。そのため、増資ができる(09年6月は増資ラッシュでした)。

■8.更に、「シンティックCDO」を開発

CDOのままでは、シニア債の格付けがAAAとは言っても、回収リスクは残ります。危険なメザニン債やエクイティ債ある。これらを、きれいにするにはどうしたらいいか。

回収リスクに、保険をかければいい。これが、回収リスクを計算したCDS(回収保険:デリバティブ)です。

保険料(プレミアム)を払って、その回収リスクを、他の金融機関に引き受けてもらう。このCDSは、保証元本が$50兆(4750兆円)を越えています。ほぼあらゆる債券にCDSがかかっていると見ていい。これを「シンティックCDO」と言いました。

リスクプレミアム(リスクにかける保険料)が2%なら、4750兆円×2%=95兆円が、引き受けた側の、保険料収入になります。

金融利益は、こうして、新たなデリバティブ(金融派生商品)が開発される度に、膨らみます。CDSを買うと、将来リスクを引き受けますが、当面は巨額利益が出るので、トップと開発者には巨額ボーナスが支払われます。

以上のデリバティブは、すべて、以下の性格を持ちます。

(1)証券やローンの未回収リスクの、将来への飛ばし。その場だけは、バランスシートがきれいになって、保険料支払い後の利益が出たように見えますが、損失リスクは、将来に先送りされています。

保証を引き受けた側が、AIGやリーマンのように破産すると、残った純資産での精算配当額にしかならない。

(2)住宅価格の値下がり、諸々のローン破産率の上昇があると、MBSやCDOの時価下落し、保険料は高騰して、一挙に自己資本リスクが表面化します。

●こうしたリスクの総額が、いくらあるのか、まだ誰にも見当がついていません。500兆円(IMF)とされますが、それでも甘いみつもりでしょう。

金融機関や政府が公表するリスクは、その時点での、経済見通しを前提にしています。住宅価格、商業用不動産が更に下げ、ローンの未回収率が上がったとき、以上のような「デリバティブの核爆弾」が破裂してしまう。

この危惧を、今回米国に行って、店舗や不動産の実体経済を見、3ヶ月は遅れる古い統計数字ではなく、空き家の増加を見て肌で感じました。

今、政府対策(資金の緊急貸し付け)で、金融機関の表面上のバランスシートが回復したかのように、見えているだけです。

分かりやすい指標は、住宅の実勢価格がいつ下げ止まるかです。正確なケース・シラー指数を見ても、下げ止まりとは、まだ思えません。(注)ケース・シラー指数は、集計が2ヶ月遅れます。

本稿は、これからの危機、つまり「デリバティブ危機」を解きました。ともかく、今の、世界の金融機関の決算と利益は信用できません。


【結論】
債務保証型のデリバティブは、要は、危機(=回収リスク)の先送りです。

世帯の所得(または住宅価格)が上がって、原資産になるローン回収率が好転しないと、それを保証するCDS(債務保証保険)の危機が続きます。そのため、住宅価格の下落の停止、あるいは上昇がないと、オフ・バランスで隠された金融の危機がいずれ、再び勃発します。

今は、3月9日以来の株価上昇(金融機関による自己売買)での利益確定で、その迫り来る損を埋めようと必死な状況だと思えばいいでしょう。そのため、仮に株価が下落すれば、危機の再来です。

日本の株は、いつものように、ガイジン(英米系金融機関とヘッジファンド)による1兆円の買い越し(09年7月)で上がっている、あるいは日経平均で1万円水準を維持しているだけのことです。ガイジンが利益確定のため、売り越せば、簡単に下がります。

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このブログ記事を参照しているブログ一覧: 日本の対外資産の推移を見ると  2009.8.16

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