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茨城県ひたちなか市「虎塚古墳発掘の頃」   2009.11.23.

2009_11_22 019mk.jpg 23日午後から、熊本県立装飾古墳館の講座を聴講してきました。今回の講座講師は、ひたちなか市にある虎塚古墳の発掘に立ち会った、市埋蔵文化財調査センター所長の鴨志田篤二さんです。演題は、「虎塚古墳発掘の頃」と題して、未発掘の横穴式古墳発掘で得た貴重な科学調査結果や、思いがけない感動の装飾古墳出現場面、海外や九州と本州にある装飾古墳との関連などの話でした。虎塚古墳の調査は、昭和48年に勝田市史編纂事業の一環として行われ、後円部南側に開口する横穴式石室が発見され、これが予想もしてなかった装飾古墳でした。それも、九州と関連があることが判明し、この発見が奈良県の高松塚古墳の保存にも役立つことになりました。

 この古墳の石室は、白色粘土で下塗りをした上に、ベンガラ(酸化第二鉄)で円文や三角文の幾何学模様や、靱・盾などの武具などを描く装飾古墳でした。調査前に、大塚初重調査団長は、東京国立文化財研究所保存科学部の新井英夫技官から「未開口の横穴式石室を調査する機会が合ったら是非連絡してほしい」旨の依頼を受けていました。「未発掘古墳内が形成している微生物学的に不活性な環境条件が判明したとき、発掘後の古墳の微生物による劣化防止対策に一つの有効な手段を提供しうるものと期待される。」と考え、未発掘の石室内部の科学調査に大きな期待を寄せていたとのことでした。

 さっそく内部の科学調査をするために、パイプを差込み温度・湿度・細菌の調査をし、外気温31℃の時に内部の温度は15℃で、湿度は95%、微生物は400種余りいて、この中のアルギンアミノ酸が石室内の殺菌をする役割を果たしていることが判明。また、人間の吐く息で雑菌が繁殖しカビが発生する事も分かり埋戻し、半年で石室内部が元の状態になることも判明し、経年調査で室温は15℃をはさんで±2℃に。このため、外気温と古墳内部の温度差がなくなる季節、春と秋に一般公開をやることになりました。

2009_11_22 033mk.jpg 石室の開口作業は、朝から市民や報道陣が見守る中で作業は開始。一枚石の閉塞石は、玄門部にしっかりと食い込み11時過ぎに動いた、その隙間から鮮やかな装飾が見え、この時初めて装飾古墳と判明。直ちに、石室内の気温・湿度の状態を開口前に近づかせるために、市内の発泡スチロール工場から大きな発泡スチロールを一枚貰いうけ、適宜に密閉して内部を安定。しかし、内部調査は、2名が限度。30分作業で温度は3℃上昇、湿度は10%ほど減少、その都度発泡スチロールで閉塞し、20分後に温度16℃、湿度90%に回復することで、墳丘自体に回復力があることが判明。また、石室内部の炭酸ガス濃度は外気の50倍も。その他にも、保存施設ができるまで埋戻しし科学調査をすすめ、パイプでパナホルムアルデヒド10g/㎡が挿入された後の8ヵ月後には、発掘調査で増加した微生物数が発掘前の状態まで回復し、石室内の殺菌を。内部温度は16℃±1℃で外気温との関係で、寒暖の差が3ヶ月遅れであることも判明したそうです。(これらのことが、高松塚古墳の発掘に貢献したようでしたが、結果は・・・・・・・・。)

 こんな話を聞いていると、日田市の文化財に対する保存のあり方に疑問が生じます。先日も、日田市の古代に興味を持つ東京の人から「怒りの電話が」。ネットでガランドヤ古墳をブルーのシートで覆っている写真を見ての反応でした。同感です。

 先日は、チブサン古墳内部を拝見してきましたが、「保存と公開」には程遠い日田市の実態に、「どげんかせないかん!」です。

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