« リビアに米英軍が110発余りの巡航ミサイル攻撃 2011.3.20. | メイン | リビア攻撃前の動きについて 2011.3.20. »

リビア問題とは、 20011.3.3.

リビア問題が中東問題に波及するかどうか。いずれにしても石油資源問題、利権問題が根底にあります。

極東ブログの解説を読みと理解できます。

2011.2.22.極東ブログから・・・

2011.02.22

リビア争乱は問題として見れば始まりとともに終わり

 リビア情勢はどうなるのか。展開が急なわりに問題の軸がうまく見いだせず、漫然と事態を見ていたのだが、今朝ワシントンポストとフィナンシャルタイムズの社説を読んだら、すっとわかった。もうすべて終わっている。簡単に言えば、カダフィー「大佐」はすでに国際的な人道上の犯罪者だから、生き延びてもその国の石油は西側社会が抑えるということ。終わり。これって、イラク戦争2.0ではないのか。
 リビア問題を見る上でキーとなる条件がいくつかあった。IT革命、アラブ諸国の民主化、独裁体制の崩壊......とかではない。まず、リビアは小国であることだ。隣国エジプトの人口は8300万人だが、リビアは640万人。エジプトの十分の一も満たない。「不安定化するイスラム諸国」とかのお話に付随するイラスト地図を見ると、エジプト並みサイズの国で暴動が起きているというイメージを持ちやすいが、あの国土にエジプトの十分の一の国民が散らばっているとなれば、治安の仕組みはかなり異なる。
 実質的には、リビアは各地方の部族とカダフィー政府の曖昧な合意によって成り立っていたと見てよく、その連携が切れれば国はバラバラになる。
 2点目はリビアは原油の確認埋蔵量で世界8位の国であり、この国の動向には原油の利権が必ず絡むことだ。ひどい話になるが、原油を誰がどう握るかが、リビア問題の結論になると言ってもよい。これは支配という意味ではなく、市場化・コモディティ化させるという意味でもある。
 3点目には、カダフィー「大佐」による独自な統治形態や傭兵の多い軍といった、いわゆるリビアの政体(レジーム)の問題がある。が、すでにレーガン政権時代のような問題とはいえず、実はその要因は小さい。
 このパズルをどう解くのだろうと困惑していた。が、なかなか読めなかった理由もわかった。私は、カダフィー「大佐」のような可視で滑稽な悪玉は世界にとって必要と見なされていると理解していた。話を簡単にするが、隣国の金さんに対して脅しばかりではなく、「大丈夫、ほら、カダフィー大佐もいるではないか」とすれば、説得力がある。それは間違いだったのだろう。
 リビアにはエジプトのように、国家に浸潤した形での軍部はなく、緩慢なクーデターを演出するといった芸当はできない。反乱が起きれば、軍を使ったマジな弾圧が始まるのは必然なので、その人道的な危機が懸念される......といえばいかにも正しい話だが、それを止めることはほぼできない。
 つまり、リビアに一定以上の争乱が起きれば、人道上の問題が発生するのは必然であり、その必然が発生してしまえば、真珠湾攻撃をやったから許されませんよといったふうに、為政者は国際的な犯罪者となり、よって資産は没収となる。そういうプロセスを辿ることは、決まっていたわけだ。一定量の争乱の発火ができれば、カダフィー「大佐」を屠れることは決まっていた。
 構図が見えてきたのは、ワシントンポスト社説「Moammar Gaddafi must pay for atrocities」(参照)からである。西側はリビア政府に民主的な対応を求めたが、それではまだ弱いとして。

But the regime's actions demand much more forceful action, including an immediate downgrading of relations and the raising of Libya's case before the U.N. Security Council. The United States and the European Union should make clear that if the regime survives through violence, it will be subject to far-reaching sanctions, including on its oil industry.

 

しかし、リビア政権の行動にはさらに強固な行動が必要であり、それには即時の関係格下げと国連安全保障理事会前にリビア問題を議題化することを含む。もしリビア政体が暴力によって存続したとしても、この政体は広範囲な制裁されるべきであり、それには原油産業をも含むことを、米国と欧州連合(EU)は、明確にすべきである。

 人道的な犯罪者の資産であるリビア原油を西側社会が差し押さえますよということだ。
 西側の思い通りになるだろうか。イランのように反西側の産油国化にはならないのだろうか。その懸念は、イランのような、まがりなりにも統一的な政体維持が前提となる。
 この点はフィナンシャルタイムズ「The Arab revolt comes to Tripoli」(参照)が示唆深い。

In both Tunisia and Egypt, the army proved critical in not turning its force on civilians, and maintaining peace once the autocrats were deposed: military leaders were able to separate their own fate from that of their leader. In Libya, the security forces are more of an unknown quantity and the army is not a coherent institution. The tribal nature of Libyan society adds a further layer of uncertainty.

チュニジアとエジプト両国とも、軍部は市民に力を向けなかった。独裁者が追放されれば平和が維持された。軍部指導者は、その支配者の命運を分別できた。リビアでは、治安部隊はより未知数であり、軍部は一貫した組織体ではない。リビア社会は部族社会を基本とするため不確実性が高まっている。

It has always been a generalisation to refer to a monolithic Arab world. Libya's population is 6m people; Egypt's is 83m. Libya has almost no civil society; it is closed and dysfunctional. If Mr Gaddafi falls, it is more uncertain even than elsewhere what will fill his place.

アラブ世界は一枚岩だと雑駁に言われ続けたものだった。リビアの人口は600万人だが、エジプトは8200万人である。リビアには市民社会はほとんど存在しない。リビアは閉鎖的で国政は正常に機能していない。仮にカダフィー氏が失墜しても、代わりとなるのはよりいっそうの不安定性である。


 カダフィー「大佐」が消えたとしても、この地域に国家を維持する為政者はいない。ますます、原油は西側で管理するということにならざるを得ない。
 近い未来の予測というなら不明だが、中長期的にリビアを考えるなら、イラクと同じような混乱を通しても議会制に移行させ、原油はコモディティ化の方向に向かわせるのが西側の総意と見てよいだろう。
 

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: リビア問題とは、 20011.3.3.

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.k-kawasaki.info/mt/mt-tb.cgi/2319

2012年2月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29      
My Yahoo!に追加

アーカイブ