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被爆した放射線量とその障害について 2011.03.18

IMG_0085 mmk.jpg ビジネス知識源の吉田繁治さんからのメールです。福島原発の事故で放射線量の拡散が確認されています。政府やマスコミは健康被害がでる放射線量ではないと言っています。しかし、累積被曝量についてはどうなのでしょうか?福島原発から離れた処に住んでいる人も、勤務地が教理的に福島原発に近づく人達の数は相当数に及ぶでしょう。

私も二人の息子が東京にいますから心配になります。

・・・・・・・・・

http://ameblo.jp/warm-heart/page-3.html#main

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本稿は、<被曝した放射線量と急性・慢性の障害>に関する補足情報としての増刊です。お送りする理由は、3つあります。

(1)当方の論考では、この件に関し、緊急号の全8号に分散して書いたので、一目での一覧性がなく分かりにくい点がある。

(2)政府や東電が言う、場所別の放射線量(1時間単位)は正確としても、待避圏(今30Km)や、その外に住んでいて(あるいは仕事をしていて)毎日累積するはずの被曝量がどう身体に影響するのか、全く分かりにくい。

この点の説明は、大手マスコミでも、知る限り、ほとんどありません。

(3)政府は放射線量(1時間単位)に対する安全基準を、普段の時と変えて甘くし、「いま**です。この値なら健康には害がない。胸部X線の一回程度です」という表現にしているからです。

地上波TVの、専門医の発言も、ほぼ同様です。

◎以上の理由から個人で判断し、行動する必要があります。これがお送りする理由です。今日、資料と、インターネットで調べました。「・・・という」の表現で書くべきですが、それは略しています。

(注)調べて書いていますが、これからの健康にとり大切なことなので、間違っている点や、触れるほうがいい事項があれば数行でもいいです。メールをいただければ幸甚に存じます。批判もOKです。科学的なことでは、間違いは修正せねばなりません。
yoshida@cool-knowledge.com

■1.累積被曝線量(線量とも言う)と、がん発生の確率的な関係

最初に、これを示します。

【前提となる知識】
・政府・東電が発表するのは、1時間当たりの放射線量です。
・一方、身体にとって肝心なのは、累積被曝量(線量)です。

(線量の単位)
1シーベルト=1000ミリシーベルト=100万マイクロ・シーベルトです。

東電や政府の発表は、1時間そこにいたとき被曝する可能性のある線量です。

ところが、そこに住んでいるときは、1日が24時間ですから、平均で、その放射線量/時が続けば、人体の被曝量は24倍に、1ヶ月なら720倍になります。(注)すべて可能性:観測点に近い区域でも、場所、遮蔽物、防護で変わります。雨、雪、地下水、水道水、食物の中の放射物もある。自分の被曝数値は大きく見たほうが安全です。

20マイクロ・シーベルトの線量の場所に、1ヶ月住んでいると、20×720倍=14.4ミリシーベルトを被曝します(可能性)。

(注)カタカナは冗長なので、以降では、μSv(マイクロ・シーベルト)、mSv(ミリ・シーベルト)と表記します。μは100万分1を示
すギリシア文字、mは1000分の1、Svが1シーベルトです。

【医学的なX線撮影での、被曝の線量】
・40分かかるPET(断層撮影)が、検査ではもっとも多く被曝します(1回6.9mSv)。
 これを毎日行うことは決してない。15回(累積で約100mSv)も受ければ、がんになる確率が、ほぼ1%高まるからです。(後述)
・胃腸のX線撮影(0.6mSv)も一回のものです。
・胸部X線撮影(0.05mSv)も一回のものです。
以上のように、医学的な検査での被曝線量は、一回当たりです。

【誤った論理】
「この場所の放射線量は、600μSv/1時間です。これは胃の集団X線撮影(600μSv/1回)くらいだから安全」とは言えません。

1日で24倍(14.4mSv)、1週間では100mSvの危険値になります。

1ヶ月間、平均で600μSv/時間が続いたところに住めば、720倍に増えます。被曝線量は432mSvで、白血病やがんになる確率が急に増えます。子供は、成長のため細胞分裂が活発ですから、もっと危険です。

繰り返しますが、ある地区の線量は、気体性の放射性物質が飛散する源からの距離と風向きで、予測できないような不規則な変化をします。

◎政府も、地区ごとの平均放射線量と累積放射線量を発表すべきでしょう。エクセルで計算すれば、変数で概算ができます。放射線で重要なのは、測定の小数点の正確さではなく、概数です。

何から出た放射線かによって変化しますが、それは考慮していません。今大気に含まれる放射物質が何か、政府も東電も公には詳細を明らかにしていないからです。われわれは、ガンマ線や中性子線の[量/時間]を知るのみです。なお、動植物による放射性物質の凝縮作用も長期に残ります。例えば犬の外出。あるいは家畜です。

◎現時点では、1ヶ月そこにいたとき、普段の食物を摂(と)って安全かどうかが、ひとつの判断基準になるでしょう。

しかし1年、2年と原発からの放射線の異常発生が続くときは、当然、1年で1ヶ月の12倍、2年で24倍を想定しなければなりません。

まだどうするか、決定する余裕は誰にもない「複合的に壊れた原発PLANTの最終処理」は、世論も絡み、少なくとも数年はかかる長期戦になるからです。

◎50mSv以上を受けるのは危ないと思う人は、1年住み続けるときの放射線量の平均限界は、50000μSv÷8760時間=5.7μSV/時間です。2年住むなら、その半分の2.9μSv/時間です。

(注)政府判断は1年に100mSvが安全値ですが、これは甘いという学者もいます。

以上の、放射線量の累積期間を入れれば、安全な値は、3.11の原発事故以来、政府が言っているものより低い値になります。

▼2011年3月18日午前の、地区別の放射線量は以下です。単位はμSv/1時間です。

福島市11.0;南相馬2.73;いわき1.06;白河2.70;北茨城1.03;日立0.55;東海0.56;千葉県市川市0.035;東京新宿0.05;さいたま0.059:川崎0.066;横須賀0.069マイクロ・シーベルト/時

(注)距離、風向き、地形、観測スポットで変わります。
原発の状態と事故の進展で、常に変動しています。
予測できない不規則な変動です。

同じ距離でも、原発からの、最近の風向きで北西方向が高い。
雨や雪が降ると、その水に、上記の値以上が含まれるはずです。

今、気体性の放射物質が多いからです。

◎上記のままの放射線量が1年続けば、そこに1年住む人は、政府が言う待避地区(30Km圏)の外である福島市も危険ラインと言えます。

1年の累積で96ミリ・シーベルトの被曝線量になる可能性が高いからです。(政府規準の安全値は、今、累積で100ミリシーベルト)

1ヶ月で、正常値に戻れば、その限りではありません。1週間ならOKです。どれくらいの期間ならOKかは、原発の事故の進展状況によります。

常に、放射線量の変動を監視せねばならない地区は、やはり、よくないでしょう。

◎政府は今、安全基準を、甘くしています。以上のような被曝期間との関係を、国民のこれからの健康問題のために、説明すべきと考えます。

ある人からのご意見のメールで、これに気がつきました。急遽調べて、本稿を書いた理由がこれです。

【累積被曝の日常イメージ】
東京とNYを一回往復(24時間くらいの搭乗)すると、上空は地上より放射線量が多いので、0.24~0.36mSvの線量を浴びます。

当方米国は100回くらい往復していますから、被曝量は24~36mSv分多い。当然、アジアや他の外国、国内の航空に乗っても、ほぼ飛行時間分増えます。

米国に1000回行くと、240~360mSvに達し、100mSv(慢性病への危険ラインとされる閾値(しきいち))を超えます。当方も、米国行きを、累積で300回以内に抑える必要があります。パイロットやキャビン・アテンダントはどうなるか・・・

【日常】
世界の、地上生活での平均線量は、1年で2.4mSv(50年で100mSV)です。幸い日本は低く、1年の被曝線量は1.0mSv(50年で50mSV)です。

以上の日常値に、医学的な検査でのX線撮影が加わり、原発事故を原因として増える放射線量も加わる、と考えていいでしょう。

(注)緊急7号で述べた、プルトニウムの放射線量の害も、他の放射線量の害もほぼ同じです。ただプルトニウムは、一旦臓器沈着したものは、排出されにくいため、身体細胞(DNA)にとっての害が多い。DNAを傷つけたり、切断させたりします。

それに、半減期が2万4000年とイマジネーションを超えるくらいの地球時間です。ギリシア時代の、微量な天然プルトニウムも、ほぼそのままの放射性の能力で残っているイメージです。そのためプルトニウムを多く含む核兵器は、人類の環境を壊す「汚い爆弾」と言われています。

【使用済み核燃料の崩壊熱】
使用済み核燃料(プルトニウムを含む)の崩壊熱が問題になっている3号機のMOX燃料(再生燃料)は、4~9%のプルトニウムを含みます。

使用済み燃料を再生し、ウランと合成して使うのがMOXですが、この推進をプル・サーマルと言って、政府は推進しています。

同じ重さでの熱量が1.7倍高いMOX燃料が使われるようになったのは、ウランの節約ではなく、プルニウムを含む使用済み核燃料の、環境を汚染しない最終処分が難しいからです。

使用済み核燃料は、核物質の消し炭や灰に思えるので、新しいウラン燃料より害が少ないと思っている人もいますが、それは誤りです。

被覆管の中のペレット(燃料片)には、ウラン238から、熱を出す核反応で生成されたプルトニウム239が含まれています。

使用済み核燃料の過熱が、問題になっているのは、このためです。加えて、融点(溶ける温度)が639度と低い。沸点は3230度でこれ以上の温度になると、酸化した重い蒸気(気体)になります。

■2.以上を予備知識として以下を見れば、理解できるでしょう。

▼急性・慢性の疾患と、放射線量の関係

【累積被曝線量】    疾患           
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[急性疾患]
7000~10000mSv ほぼ即死に近い
4000mSv         短期間で死亡
1000mSv         悪心・嘔吐
500mSV          血中のリンパ球の減少

[慢性疾患]
400mSv          白血病が増える
100mSV          健康被害は少ないとする政府基準

[以下は日常値とされている]
100mSV          がんの確率が1万人で100名(1%)増える
50mSv           がんの確率が1万人で50名(0.5%)増える
25mSv           がんの確率が1万人で25名(0.25%)増える
1mSv(1000μSv) がんの確率が1万人で1名(0.01%)増える
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

放射線被曝によるがんの発生は、体細胞のDNAに傷をつけたり、切断することが原因です。

遺伝子を含むDNAは、ご存知のように、細胞の再生や卵子、精子を支配しています。DNAに障害が起こると、がん細胞が発生しやすくなります。特に細胞分裂が多い成長期の乳幼児や子供では、障害が大きくなります。胎児も同じです。このため妊婦には、緊急に必要な時以外は、医師がX線撮影をしません。

放射線の被曝量と、人体へのがんの発生確率の関係は、リニア(線的:正比例)とされます。

累積100mSv以下は、タバコの害と比べて、どうでしょうか?

ところで、今発表されているのは、ほぼすべて1時間当たりの放射線量です。

それが50μSv/時と低く見えても、被曝線量では、
・1週間続くと168倍(8.4mSv)、
・1ヶ月で720倍(36μSv)、
・1年で438mSvになる可能性に、留意しておかねばならない。

▼各地の放射線量例と、その累積被曝量の関係

【発表値例】          【累積被曝線量】
  1時間   1週間(168倍) 1ヶ月(720倍) 1年(8760倍)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1μSv以下    あまり問題にならない(新宿は0.05μSv)

1μSv(いわき) 0.17mSv   0.72mSv       8.7mSv
5μSv      0.84mSv     3.6mSv          43.5mSv
20μSv      3.3mSv      14.4mSv          175.2mSv
50μSv      8.4mSv      36.0mSv          438.0mSv
100μSv     16.8mSv     72.0mSv          876.0mSv
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◎「30キロ圏内1か所で、100μSv台の数字が継続しているところがある。これは、直ちに人体に影響を与えるものではない」と官房長官が言っています。確かに、前掲表(急性・慢性の疾患と放射線量の関係)に照らせば、短時間なら即刻の障害は、生まない。

しかしその放射線量の平均が、100μSv/時間で続き、1ヶ月間、自宅内で待避し続ければ、被曝量は72mSvになる可能性があります。1年間なら、危険を通り越して身体の危機です。

平均100μSv/時の1ヶ月分で、慢性がんの発生の確率が約1%上がります。政府発言の適否は、どうでしょうか? 政府はこれを問題ないとしています。

まさか高齢が多いからいい、としているのではないでしょう。原発の集結処理は、長期間かかります。今後の不確定な可能性としても害が想定されるなら、対策の必要があるように考えます。

政府の公式発言は、様々な専門家に相談した上での発表のはずです。医師の方、以上をどう思われますか? 30Km圏内で、100μSv/時間が数日も続くなら、待避ではなく避難命令にすべきに思えるのです。

◎緊急号(8)で、政府の発表は信頼できると書きましたが、この点を本稿で修正します。

【参考:福島第一原発西門の公表値(東電プレスリリース)】
[1時間:ガンマ線]
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
13.7μSv     3月18日 午後0:00の低くなった値(西門)
278.9μSv    3月18日  午前5:30(西門)     
3339μSv    3月18日 消防車での放水後(事務本館北)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(注)上記のように、福島市は、11.0μSv/時間でした。

福島第一原発の敷地内(事務本館北)は、放水後で1時間3.3mSvです。放水前もほとんど同じ3.5mSvでした。これは、微妙な計測誤差の範囲でしょう。ほぼずっと、これが続いていると見ていい。

◎1日で79mSv、5日で395mSv。危険なことが分かります。このため敷地に立ち入りすれば命がけになる。ごく短時間の作業しかできない。原発の建屋内は、作業は無理でしょう。これがずっと続いています。事務棟は、原発の建屋から比較的に離れています。

以上のデータを、自分が住む地区の、放射線量のμSvの値(1時間当たり:発表値)に当てはめると、「危険かどうか」ご自分で判断ができるでしょう。本稿の目的は、これです。ニュースの数値の意味が、分かって、判断できます。

政府(または厚労省の技官)は以上を、今、説明すべきですが、手が回らないのか。知っていて説明しないとすれば問題です。政府には「言わざるの罪」もある。専門家の義務でしょう。ごまかしているとは思えませんが、国民の健康に係わる問題です。

以上は増刊とします。余計な事かも知れませんが、あと一点。

ニュース原稿を書く方、誤った部分は、専門家に確認して訂正し、「累積放射線量と疾患の関係」を示してアナやキャスターが読むようにしてください。マスコミの倫理義務でしょう。

事実を知らせても、情緒的ではなく科学的なら、無用なパニックは誘発しません。医師のインフォームド・コンセントと同じ論理です


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