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郵政民営化とは 2011.5.11.

郵政改革 郵政民営化見直しは、国民の虎の子350兆円を守る

 郵政民営化見直しは、国民新党が取り組む政策の1丁目1番地。2009年12月に「郵政株式売却凍結法案」を成立させて政府が持つ日本郵政株式の売却と「かんぽの宿」売却を止め、今国会に「郵政改革法案」を提出するため準備を進めてきました。国民の汗の結晶が奪われる可能性があるからです。

 

郵政民営化の本当の目的

 小泉政権が進めた郵政民営化の目的は、郵貯・簡保合わせて350兆円の金融資産を、ハゲタカ外資に奪わせることでした。その証拠は、米国が毎年わが国に突き付ける『日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府要望書』(年次改革要望書)にあります。1995年版から簡易保険の廃止と市場開放を求める項目が登場し、2004年版には「2007年の民営化開始」も明記されています。

 米側の関与は、国会でも明かされています。05年6月7日の委員会で当時の竹中平蔵金融相は郵政民営化準備室が米国政府・業界関係者と17回面談したと証言しました。

 

トラブル急増の背景に非正社員化が

 民営化していないわが国は遅れているかのような宣伝がされますが、諸外国はどうなのでしょう。

 英国では、政府が株を保有する国有会社が郵政事業を運営しています。都市部以外の郵便局では採算が取れず、赤字を税金で穴埋めした経緯があり、法人化を失敗だったと考えているようで、ブレア首相は「日本は時代に逆行している。多くの国で民営化に失敗していることを学ぶべきだ」と語っています。

 ドイツでは、60%以上を政府が出資する株式会社が運営しています。1960年代に郵貯を分離して別会社にしましたが、大失敗に終わり郵便事業会社が買い戻しました。民営化によって採算の取れない郵便局が次々と閉鎖したため、国民生活に打撃を与えたのです。

 ニュージーランド1987年に分割民営化されましたが、ドイツと同じように郵便局の閉鎖が相次ぎ、国民生活に打撃を与えました。郵貯はオーストラリア銀行便買収され、庶民が利用できる少額決済の銀行が皆無になりました。現在は民営化された郵便会社を政府が買い戻すとともに、郵貯に代わる『キウイバンク』という国営金融機関を作らざるを得なくなりました。

 当の米国はどうでしょうか。わが国に民営化を押し付けておきながら、自国では国営の郵便事業を守り続けています。郵便庁に勤務する約86万人は公務員で、大統領委員会は今後も公的機関が郵便事業を行うのが望ましいと結論づけています。「公営は時代遅れ」という言葉が、わが国の虎の子、国民の財産である350兆円を奪うための虚偽宣伝であることが分かります。

 海外から見ると、わが国に押し付ける郵政民営化の狙いは明白です。2005年の「郵政解散」翌日の『Financial Times』に、「日本はアメリカに3兆ドルをプレゼント」と題する記事が掲載されました。旭日旗がぼろぼろにされ、中央の穴の中にシルクハットにマント姿でアタッシュケースを持った西洋人が入っていく風刺画が添えられています。

 

郵政株の売却が引き起こす金融システムの破壊

 郵政民営化は、金融システムを破壊する危険性があります。現在凍結中の民営化法では2017年までにすべての株を売却することが定められていますが、これが始まれば、郵貯の半分と簡保のほとんど、合わせて200兆円前後が海外に投資されることになると予想されます。そうなれば、日本郵政が保有する莫大な国債が売り込まれて、国債価格が下落します。都市銀行も大量の国債を抱えていて、評価損を最小限にするため一斉に放出を始めるはずで、長期金利が一気に上がります。メガバンクに信用不安が走れば、円が売られます。円安は自己資本比率を低下させ、貸し渋り・貸しはがしが起きます。信用不安は預金の流出を引き起こし、金融恐慌に発展しかねません。金融不安のあおりを最も受けるのは信金・信組など地域の金融機関であり、地場産業や地域生活が立ちゆかなくなると予測されるのです。
 

すでに吹き出した民営化の弊害

 国民新党の奮闘で最悪の事態は避けられていますが、すでにさまざまな弊害が起きています。民営化前の2003年、郵貯・簡保資金の運用委託先が公募され、翌年運用先が決まりました。そこには、旧長銀の破たん処理問題で国会に参考人招致を求められ、サブプライムローン関連の債務担保証券の販売で米証券取引委員会(SEC)に提訴されているゴールドマン・サックスをはじめとした外資系ファンドが名を連ねています。

 「かんぽの宿」の常軌を逸した売却もその一つ。鳥取県岩美町の「かんぽの宿・鳥取岩井」は1万円で売却され、半年後に6000万円で転売されていました。総合規制改革会議議長を務めた宮内義彦氏が経営するオリックスグループは2400億円をかけて造った70の施設を109億円で買い取っています。

 業務を郵便局会社と郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4社に分けたため、3事業一体で生まれていた効率性が消えました。郵便局内に間仕切りが置かれ、人も出入りできなくなっています。郵便配達に保険や貯金に関する業務を頼めないのは過疎地のお年寄りに痛手で、郵貯残高も減る一方。ピーク時に260兆円あった貯金残高は、2009年12月末には177兆円弱まで落ち込んでいます。

 分社化の中で利益を確保するため、合理化が進みました。過疎地を中心に簡易局の閉鎖が相次ぎ、約4000あった局の1割強が一時的に閉鎖しました。

 民営化と同時に防犯カメラが各郵便局に設置されましたが、郵便局長が誰と会っているかなど、職員の監視に使われています。非正規社員化と相まって職員の士気の低下は著しく、遅配も増えています。

 

郵政見直しをめぐる誤解

 国民の多くが郵政民営化を素晴らしいと思うのは、マスコミの影響が強いのでしょう。これらの報道には、金融機関の立場での論評が目立ちます。テレビや新聞は「民営化で公務員が10万人減らせる」との小泉純一郎元首相の言葉を宣伝しましたが、郵政公社の運営に税金は1円も使われていません。各紙にタレントを使った郵政民営化礼賛の全面広告が載りましたが、「郵政選挙」に向け米国の保険会社がわが国の大手広告代理店に5000億円の広告を依頼したとの指摘があります(『アメリカに食い尽くされる日本』森田実・副島隆彦、日本文芸社p.136)。そこでは国民を階層区分し、学歴や所得の低い「B層」を標的にした広告戦略が展開されました。この差別的な手法は国会でも追及されています。

 マスコミによる民営化キャンペーンは、郵政改革法案の国会提出が迫り、再び活発化しています。3月下旬に発表した骨子では、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額を1000万から2000万円に、かんぽ生命の保険限度額を1300万から2500万円にするとともに5社体制から3社体制に移行、親会社への政府出資比率と金融2社への親会社の出資比率をそれぞれ3分の1超としました。これについてマスコミは、「民業圧迫だ」「国債発行が増え、財政規律が崩壊する」「亀井大臣がごり押しした形だ」などと報じました。しかし、これらは大変な歪曲(わいきょく)です。

 各紙が限度額引き上げを批判しますが、他の金融機関には限度額はなく、青天井。それに対して、日本郵政にはユニバーサルサービス、つまり山奥や離島にも同じ業務を提供できるよう責任が課せられています。税金なしで、それを果たす必要があります。「民業圧迫」と言いますが、民間金融機関の預貸率は今や50%程度。つまり、貸出をせず、利率のいい海外の有価証券で運用したり、手数料で稼いでいます。ゼロ金利のため、その原資は事実上ただで集めた上、政府から12兆円を超える税金を投入されたままです。このことをマスコミは伝えません。

 「国債発行に歯止めが掛からなくなり、財政規律が壊れる」との批判も悪質です。郵貯があるから国債を発行するのではありません。もし買わなくなれば、税収が乏しい今、予算が組めなくなるばかりか、先ほどの民営化の場合と同じ信用収縮が起きます。国債が紙くず同然になれば、閣僚はもちろん公務員の給料も払えず、警察も自衛隊も止まり、無政府状態になるでしょう。

 そもそも、政府が国債に頼らなければならない状況に陥ったのは、長らく続く不況下での緊縮財政のせいです。郵政民営化を進めた小泉政権では特に顕著で、「財政再建」を掲げ公共事業毎年3%減などを強行したため、税収が激減し、「国の借金」が大幅に増えました。国民新党は財政規律を改善するため、郵政見直しとセットで景気対策を提言しています。

 「亀井大臣のごり押し」論は、全くの謎です。今回の法案策定の手順は、ほかの法律と同じでした。骨子発表までに政策会議を10回重ね、連立3党間で政務調査会を毎週持ち、関係閣僚で協議の上、鳩山総理に了解を得ました。当然、上限額も、了解を得ています。マスコミには「民間と対等な競争条件」との文言が躍りますが、これは『年次改革要望書』に記されている文言です。マスコミ報道が誰の立場からのものか、察しられます。日本の政治は、日本国民を守るために行われなければなりません。

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