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デ・レバレッジ動乱の2012年への展望 2012.01.24.

今年、最初のビジネス知識源からの便りです。

最近は、フェイスブック主体になっていますのでメールチェックが細かく出来ていません。

メールボックスに1200通余り、溜まっていました。

その中からの記事です。

 

 Date: 2012/01/06 08:41:13

From: mag2 0000048497 <mailmag@mag2.com>
To:kun@fat.coara.or.jp
Subject: 120106 ビジネス知識源:デ・レバレッジ動乱の2012年への展望

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       2012年1月06日:Vol.258
     
      <新年特別号:デ・レバレッジ動乱の2012年への展望>

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
 著者への感想等     ⇒ yoshida@cool-knowledge.com
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 著者:Systems Research Ltd.       Consultant 吉田繁治
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あけまして、おめでとうございます。西高東低の気圧のため大陸からの風が強く、寒い日や雪が続いています。いかがお過ごしでしょうか。見事な正月晴もありますが、外を歩くと、気温は低い。

恒例の金融・経済のマクロ予測です。正月の新聞を見ても、毎年の、株価予想や通貨の予想をあまり見かけません。テレビの経済討論も、なぜか少ない。消費税増税((注)成立しません)のことばかり言われています。

予想しきれないのか、あるいは予想すれば、大変なのか。こうした時こそ、論理的な予測の価値があるはずですが・・・本稿は、新年の有料版として1月4日に、送ったものです。今年も、よろしくお願いします。(注)原稿は23ページです。

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<第258 新年特別号:デ・レバレッジ動乱の2012年への展望>
                      2012年1月6日

【目次】
1.米欧の金融危機の始まりから
2.中央銀行のマネー印刷が、インフレを招いていない理由
3.ホルムズ海峡の、封鎖の可能性
4.世界の中央銀行の信用増加、言い換えればマネー印刷
5.米ドルより、ユーロが下がっている理由:そして円
6.10年スパンでのデ・レバレッジの時代に向かう
【後記】在庫欠品のお詫び

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■1.米欧の金融危機の始まりから

【住宅ローン証券の暴落】
始まりは、08年に露呈した米欧の住宅ローン証券の下落でした。米国の住宅ローンは$11兆(880兆円)と、米国債($14.3兆:1144兆円)並みに大きい。(注)日本では約200兆円であり、米国の18%しかありません。

2000年代に、2倍以上に高騰していた米国の住宅価格(全米平均では3000万円くらい。都市部平均は5000万円。)が、90年代の平均価格だった1500万円に向かい下がったのです。下落は欧州も同じです。

原因は、「ローンを払えないくらい高くなった」ため、買い手が1/4くらいに減ったからです(新築分)。ピーク時では1年に200万戸もあった新築が、今、60万戸台です。(注)2011年11月は年間換算ベースで68万1000戸です。(US Census)
http://www.census.gov/construction/nrc/pdf/newresconst.pdf

【米欧の、住宅ローン制度】
米国の住宅ローン制度では、買った人ではなく、住宅にローンをつけます。ローンを借りた人は、買った住宅を手放せば、ローンの支払いから解放されます。

住宅を売っても、自己破産しない限り、どこまでも返済義務が追ってくる日本の住宅ローンとは異なります。このローンの制度は、1929年からの大恐慌のため住宅価格が、2008年からのように暴落したとき、世帯の生活支援策として法制化されています。

1929年からの大恐慌は、通説では、ルーズベルト大統領のニュー・ディール政策(国債を発行した公共事業)で解決したとされていますが、実態では異なります。

世界恐慌はほぼ10年続き、結局、第二次世界大戦(戦時国債の大量発行)に突入したのです。戦争は、政府支出(軍事費)を増やし、工場生産を上げ、軍隊が雇用する失業対策でもあります。

住宅に貸すローンの制度のため、高い住宅を買って返せない人は、わが国に比べれば、容易に住宅を手放します。残るのが不良化したローン債権です。わが国での住宅価格の下落は、買った世帯の損になっています。米欧の制度では、金融機関に損が集中します。

【デリバティブの下落】
住宅ローンの回収権(元本の返済金+ローン金利)を担保にして「証券化」したデリバティブ(MBSやRMBS)は、市場価値が下がって暴落します。

00年代の金融は、ローンの回収権を担保にする「証券化(=デリバティブ化)」です。MBS(不動産ローン証券)やRMBS(住宅ローン証券)、および他の債権と複合化したABS(債権担保の証券)は、内外の金融機関や年金基金が、投資資産として保有しています。

米欧の金融は、直接に融資するより、いろんな債権の証券化、証券売買、回収の保証(CDS)をする機関に、2000年代で変質してしまったのです。(注)日本の金融機関も、増加預金では、国債しか買っていません。

このため金融機関には未実現の含み損がたまり、信用危機が起こる。
まず銀行間のコール・ローン市場(短期の貸し借り)の消滅になります。お互いが内心では相手の資産に疑念を持っているからです。

(注)公表される健全なバランス・シートは含み損を隠したオリンパスのように、不良債券をタックス・ヘイブンに飛ばした嘘です。08年9月以降の3年余、日本を含む世界の金融機関のバランス・シートはまるで信用できません。株式市場での金融株の暴落(日本では野村證券やみずほ銀行)がこの事実を示しています。同様に、米国ではシティバンク、バンカメ、ゴールドマン・サックス、JPモルガンスタンレー等、欧州では主要20行が、程度の差はあっても債務危機の状態を続けています。株価と、社債のCDSの料率を見れば、危機が分かるのです。

【中央銀行のマネー印刷】
銀行間でコール・ローンから排除された銀行は、翌週には決済ができなくなります。このとき中央銀行は、システミックなリスク(連鎖破産)を防ぐ目的で、緊急貸付を行い、不良化した債券(住宅ローン証券等)を額面で買い取ります。

連鎖破産(数日で起こる)が起これば信用恐慌であり、マネーが必要な経済取引(投資と購買)は急減するからです。

時価で買わない理由は、市場の時価(たとえば40%の価格)で買うと、60%が銀行の実現損になるからです。簿価で買えば銀行の不良債券が、中央銀行に移転します。中央銀行の信用が低下すると、その通貨は外為市場で売られ、通貨信用が下がって行きます。(注)ドルとユーロの下落、代わりに買われた円の高騰がこれです。

AAA格(米国債並の信用度)とされていた住宅ローン証券(MBS)の価格は、2011年の年初には、額面の60%の価格でした。2011年12月には、43%に下がっています(FT紙)。住宅価格の下落と期を一にするのが、住宅ローン証券の価格です。

43%は、英国を含む欧州の金融機関がもつMBSの価格統計(FT紙:11.12.21)ですが、欧州と米国の住宅の下落率は類似しているので、米国の住宅ローン証券も同率で下がっているはずです。

2011年はPIIGSの国債価格の下落が問題視されていました。もっと大きなものが、米欧で同時の住宅の下落によるローン証券の不良化です。PIIGS債は住宅ローン証券の損に(すこしだけ)加わったものです。

(注)政府やエコノミストの多くはPIIGS債にまぎれ、住宅ローン証券問題への言及を避けています。理由は米欧の銀行の「同時危機」が明白になるからです。ユーロ債を売らせ、米ドル債を買わせるのが目的なのかも知れません。

【総損失の推計額:1000兆円】
推計では、米国での住宅ローンの市場価値(流通価格)は、$11兆×43%=$4.7兆(376兆円)に下がり、欧州でのローンの価値もほぼ同額で、$11兆×43%=$4.7兆(376兆円)に下落しているはずです。

銀行資産に対しては、含み損を計上する時価会計は停止されているので(政府規制)、金融機関が抱えている間、この損が露呈しません。

金融機関の資産の中に空いた、マネーを飲み込むブラック・ホールのような巨大損です。(注)日本の農林中金も、米国のMBSで5兆円の損を被っています。

・米国の住宅ローンで推計$6.3兆(500兆円)、
・欧州の住宅ローンで推計$6.3兆(500兆円)、合計で1000兆円
もの、不良債券が想定できます。

事実は、未だに明らかされていません。大きな利益回復での資本蓄積か、政府による増資(または国有化)しか対策がないためです。利益回復は、住宅と商業用不動産価格の値上がりがないと、生じません。このため銀行危機は、最短でも5年と長引く性格を持ちます。

【住宅が上がる時期にならないと、1000兆円の不良債券は減らない】

ローンで生じた不良債券は、住宅価格が上昇しない限り、少なくならない。2011年も増え、2012年にも増え続けます。2012年での、米欧の住宅価格の回復は、見込めないからです。

予想すればベビーブーマー・ジュニア世代が住宅を買う時期(数年後)までは、底打ちしない。数年後に底打ちしても、住宅価格が、ふたたび年率5~10%で上がることは、ないのです。

理由は、失業が10%レベルで住宅を初めて買う米欧の30歳代の賃金が、日本と同様に上がっていないからです。買う人の所得が増えないと、買う住宅の価格も上がらない。将来所得の増加が見込めないと、住宅も買われません。

親のベビー・ブーマー世代は60歳を超え、住宅を買う世代ではない。
年金が生活費に約5万円足りないので、貯蓄を取り崩す世代になるからです。

(注)日本では、65歳以上の世代は一ヶ月に5万円(年間で60万円)の貯金をくずし、厚生年金(一ヶ月平均16万円)では足りない分を生活費として補っています。世界に共通することです。

参考に言えば、日本の60歳代世帯の金融資産は2377万円で、ローン負債が252万円です。純金融資産は2127万円です。70歳代は、116万円の負債を引いた純金融資産が2401万円です。

他方で30歳代の金融資産は、ローンのためマイナスです。(総務省 家計調査:2011年)

【銀行の破産が避けられている理由】
米欧のほぼ全部の金融機関が倒産を免れているのは、米欧の政府と中央銀行が、銀行の決済に必要な資金を、貸しているからです。(注)銀行の破産は、証券の持ち合いのため、連鎖します。

下落した住宅ローン証券を、資金繰りに困った銀行から、額面(簿価)で買い取りもしています。

米国の住宅金融(ファニーメイとフレディマック)は、住宅ローンを買い取って、証券化して価格を保証し、売却するものでした。2007年と08年の保証損のため破産し、政府資本に変わっています。

このため、米国の住宅ローン($11兆)は、政府が保証すべき国債と同等の負担を、米国政府にもたらしています。(注)政府保証をはずせば、一瞬で、住宅ローンの流通市場は消えてほぼ全部の金融機関が同時破産します(断言)。

【加わったPIIGS債の下落】
2010年からは、住宅ローン証券の下落損(1000兆円)に、PIIGS債の下落損(推計150兆円)が加わっています。これらは、今は「含み損」です。含み損は、1年、2年、3年と経過するごとに、実現損になって行きます。

欧州の銀行(主要21行)に対し、監督官庁が行った2011年夏のストレス・テスト(資産査定)では、担当が「本当のことは言えない。言わない。」と漏らしています。

◎本稿で推計したように、本当の損失額を言えないくらい大きすぎるからです。あたかも氷山にぶつかる前の、タイタニック号。当時はなかった本当の計器は、氷山を示していますが見ていないふりをし、ダンスに興じる・・・

PIIGS債に対しては、米国の銀行も、約100兆円のCDS(保証保険)を引き受けています。米欧の銀行は、同じ泥船の一蓮托生です。

【結局は国有化】
最終的には(2012年末からか)、主要金融機関は、原発事故で生じた損害(数兆円)をカバーできない東電のように、資金不足のため、国有化(国家が損失を補填)されるはずです。

しかし国家財政も赤字です。その資金は、赤字国債の発行によるものです。金融市場は、これを引きうけきれないので、中央銀行による、国債の買い取り(マネー発行)になるでしょう。

■2.中央銀行のマネー印刷が、インフレを招いていない理由

中央銀行が政府の赤字国債を買い取ってマネー供給をすれば、インフレが想定されます。

【ハイパー・インフレはない】
しかしハイパー・インフレにはならない。対策金は金融機関が被った損失を埋めるものであり、民間のマネー・サプライ(マネー・ストックとも言う)の増加にはならないからです。

不動産と株バブルの崩壊の後、7年目の1997年から金融危機になった日本のように、金融機関が抱えた不良化した貸出金と、下落した不良債券を埋めるものだからです。

金融機関の損失危機がない平常時なら、中央銀行のマネー印刷は、銀行の現金を増やし現金が貸されて銀行システムによるレバレッジのかかった「信用創造」になり、その結果マネー・ストックを増やします。

つまり民間の金融資産の総金額が増える。増えたマネーは経済取引(投資と購買)を増やして、物価をあげることにもなります。

借入金の増加分は、借りた人の口座に現金が振り込まれるため、金融資産の増加になったように見えます。その現金が使われると、次は、その現金を受け取った人の預金になる。この「負債の無限連鎖」が、銀行システムでの「信用創造」です。つまりマネー・ストックの増加です。

中央銀行が国債を買い、たとえば10兆円のマネー供給を増やすと、それを借りる銀行の準備率(銀行の金庫に残す金額の率)が健全な時期の5%なら、[10兆円÷準備率5%=200兆円]のマネー・ストックを負債の連鎖で増やすのです。

準備率が金融引き締め期の10%でも、マネー・ストックは100兆円に膨らみます。銀行が始まってからの金融である「準備預金制度」は、信用量(=マネー量)を、その乗数で増やすスレバレッジです。このため、普通の時期は、インフレが恒常化しています。

◎現在のように銀行が不良債権をもつときは、損失の補填に使われるため、中央銀行がマネーを刷っても、連鎖でのレバレッジが働きません。このため、2000年代からの日本のように、マネー・ストックが増えない。

マネー・ストックの増減とGDP(経済取引量)の増減、および物価・資産の騰落の原理を示すのが、以下のフィシャー等式です。

M(マネー・ストックの金額)×V(マネー・ストックの回転率)=P(物価と資産の上昇率)×T(実質GDPの成長率)

(注)現在は、金融のグローバル化での「キャピタル・フライト(海外へのマネーの逃避)」もあります。ある国の中央銀行が国債を買い、マネーを増加印刷するようになると、その通貨の価値下落を恐れたマネーが海外の債券を買うので、ユーロやドルのように通貨が下落します。

このため、中央銀行の国債を買いも、単純には、インフレを生みません。国内のマネー・ストックの増加にならないからです。

日本のマネー・ストックは、2011年11月で1457兆円です。日銀の、国債購入、マネー印刷の増加、ゼロ金利策にもかかわらず、2000年代は、ほとんど増えていません。

マネー・ストックとは世帯、企業、自治体が、国内の金融機関にもつ金融資産の保有額と理解していいでしょう。マネー・ストックが名目金額で増えないと、インフレは起こりません。
http://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms1111.pdf

■3.ホルムズ海峡の、封鎖の可能性

イスラエルを地図上から消すと言いながら、核兵器を開発しているイランの原発に(ロシアが支援:ミサイルは北朝鮮)、イスラエルが空爆を仕掛けると「大変」です。

原油を運ぶタンカーが頻繁に通る狭いホルムズ海峡に、大型タンカーを一隻でも沈めると、サウジ・アラビア、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦からの、日本を含む世界への原油輸送が、最短でも6ヶ月間は、途絶えます。沈没したタンカーを、引き上げねばならないからです。

ホルムズ海峡は、1隻でもタンカーが没めば原油の輸送船が通れなくなるくらい浅く、幅40キロメートルと狭い。最大水深は190メートルしかないのです。

米欧は、イランの核兵器開発をとめる目的で原油輸入に制裁金を課す経済封鎖を敷こうとしています。日本でも、米欧からの経済封鎖が、太平洋戦争の原因でした。

報復として、イランは2012年1月3日に、ホルムズ海峡の海上封鎖をちらつかせています。タンカーに、大砲を向けるという意味です。ラヒミ副大統領は、「原油輸出に制裁金を課せば、一滴の原油も、ホルムズ海峡を通さない」という。

2012年にイスラエル・イラン戦争が起これば(紛争でも)、即日に、第4次石油危機になり、資源・穀物、金属、金は高騰します。

ゴールドも原油価格と同期して上がり同期して下がります。この可能性も高い。そうなると、世界インフレでしょう。

銀行の不良債券を減らし、政府国債の実質負担を減らすインフレは、金融機関と政府にとって普通は歓迎でしょう。インフレは、金融資産の価値と、負債の価値を減らすからです。

◎ただし、現在は、国債の発行残高が、世界で5000兆円規模(世界のGDPの100%)と大きい。それは、金融機関が保有しています。たとえば、世界が5%の物価インフレになると、金融市場での「期待インフレ率」も5%に上がります。期待インフレ率は、金融市場の参加者が、物価の将来上昇を予想して抱く金利率です。政府の政策金利とは異なります。

こうなると、国債価格(10年債)は、15~20%は下落しますから、世界の銀行危機は救われないでしょう。

いまはの時期の、イランの経済封鎖の動きは、イランに「ホルムズ海峡の封鎖」を迫るものです。インフレを起こしたい政府・金融機関の一派が、導出したものかも知れません(推測)。

2001年の陰謀めいて禍々(まがまが)しい「9.11」の後の、2003年のイラク戦争の名目は「フセインが大量破壊兵器を製造している」という嘘でした。これはもう、明らかになったことです。

(注)イラクの大量破壊兵器(化学兵器)の一部が、独裁者カダフィのリビアにあったと報じられてはいます。金正日総書記が亡くなった北朝鮮でも、核兵器と核弾頭ミサイルは確認されています。今のところ軍部の内部対立による暴発はないと思えます。怖いのは、弾道ミサイル(テポドン)の誤射による、日本海の原発の破壊です。

「イランが核兵器を開発している」ことは、米欧が、イランの制裁を仕掛ける名目になり得ます。イランのバックはロシアで、ロシアは、表面には出ないかも知れませんが、原油高騰で利益を得ます。

ロシアの原油輸出は$2063億(16.4兆円)です。1位のサウジアラビア($2155億:17.2兆円)とほぼ同じ大きさです(2010年)。ロシアの原油生産は、国有化されています。原油の高騰は、ロシア政府の直接の収入になるのです。プーチン政権は、現在、政府収入に困窮しています。

米英系メディア(CNNやBBC)に比べ、わが国のマスコミの報道は少ないのですが、中東は戦争の危機に向かっています。

■4.世界の中央銀行の信用増加、言い換えればマネー印刷

08年9月からの米国発の金融危機のあと、銀行の不良債券を埋める目的で、まず米国、つぎに欧州(ユーロ17ヵ国)と英国、そして日銀の合計信用が$8.3兆(640兆円)になり、それ以前の2倍に増加しています。

中央銀行の信用の増加は、銀行がもつ不良債券と、政府が発行した国債を買い上げ、その代金として金融機関の当座預金に現金を振りこむことです。

マネーはデジタル化しているので紙幣は印刷しませんが、紙幣印刷と同じです。日・米・欧・英で、320兆円の紙幣増発があったということです。

これは中央銀行が、3年間で320兆円の負債を増やしたことなのですが、なぜか「信用の増加」と言う。実態は、中央銀行の信用の価値は、減少しているのです。政府が発行する負債の証券は国債ですが、国債増発を、政府信用の増加とは言わないでしょう?。

本義に戻ってクレジット(=負債)の増加と言えば、分かりやすいでしょう。クレジットを翻訳するとき、逆の意味に取られる「信用」という訳語を当てたのは、日本政府でしょう。

たとえば企業の信用増加とは利益が上がることです。しかし、中央銀行の信用増加は、マネー印刷の増加、つまり中央銀行が発行する、国民経済に対する負債証券(これが紙幣)の増加です。この証拠に、中央銀行のバランス・シートでは、紙幣の発行額は負債勘定です。資産ではない。

1万円札をもつひとは、日銀に1万円を貸していると言っていい。日銀の窓口に返してくれともっていっても、何も返しません。1万円の新札を渡されるだけです。これが、1971年の金・ドル交換停止以後の紙幣です。

円は、直接に金には交換できませんでしたが、米ドルに換えてFRBにもって行けば、$35を1オンス(31.1グラム)の金と交換できていたのです。

1944年からの金の交換価格は1グラム換算で、ほぼ1ドルでした。1ドル金貨に相当します。これが1944年から1971年まで続いた金をベースにした「ブレトン・ウッズ体制」でした。

(注)通説では誤って金本位制と言われますが、金本位制ではありません。発行するマネーは、金を担保にはしますが、金の準備率は10%以下で、90%以上は金ETF(金の上場投信)のような証券(ペーパー・マネー)だからです。金本位は、ペーパーではなく1両小判のように、金貨を通貨として使うことを言います。

今は1グラムで4200円付近ですから(12.1.03)、ドルで言えば$54です。米ドルという負債性の通貨の価値は、負債性ではないゴールドに対し、40年で1/54(=1.85%)に下落しています。

年率平均では1年に9.5%という大きなドル価値(購買力)の低下と見ることができます。

(注)2000年代のゴールドは、徐々に「ドルの反通貨」と認識されるようになっています。新興国の中央銀行が買っています。金価格が下がるのは、ヘッジ・ファンドが資金繰りに困って売り、ドルに換えてドルが上がったときです。

どんな形になっているか一例として、単純化したFRBを見ます。
最新の2011年12月28日時点で、原本はFRBが公開しています。
http://www.federalreserve.gov/releases/h41/current/

           【資産】                 【負債】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
米国債         $1.7兆     ドル紙幣の発行  $1.1兆
財務省証券     $0.1兆     銀行の当座預金  $0.2兆
MBS(不良債券)$0.8兆     7つの連銀からの借り入れ 
その他資産     $0.3兆                     $1.5兆
                             その他負債     $0.1兆
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
資産合計       $2.9兆     負債合計    $2.9兆(232兆円)

リーマンショック前の08年8月は、FRBの総資産・総負債は、$1兆付近(80兆円)でした。152兆円のドルの増加発行があったことになります。FRBの総信用は、金融危機前の3倍で、欧州ECBの2.6倍を超えています。

(注)FRBバランス・シートの数字は、負債を少なくした粉飾ではないかと疑っています。実態は、もっとある感じがするからです。

FRBの特徴は、国債や証券の「保護預かり勘定(カカストディという)」です。custodyの原義は、法的な拘禁、拘置、監禁です。

米国は海外に売った国債等の現物を渡していません。日本政府や中国政府がもつ米国債(外貨準備)や、金融機関が買った米国債やドル証券は、「FRBが預かっている」ことになっています。

このため日本や中国は米国債を市場で売りにくいのでしょう。FRBが「やめてくれ」というからです。FRBは世界の中央銀行の親玉でもあります。

【FRBの保護預かり勘定:メモ欄】
海外政府がもつドル証券(住宅証券を含む)$3.4兆
米国債の保護預かり                      $2.7兆
米国財務省証券                          $0.7兆
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
保護預かり合計                      $7.8兆(624兆円)
http://www.federalreserve.gov/releases/h41/current/

保護預かり勘定も、たぶん(全部ではなくとも)、預かりと言いながら、FRBが買い取ってドル紙幣を発行しているのではないかと、考えています。

いずれにせよ、日米欧英の中央銀行は、信用拡大といいながら、負債を急増させています。

(注)08年9月以降は、日銀の信用拡大量がもっとも少ない。2011年12月22日時点で、総資産・負債は141兆円です。金融危機の前の08年8月は109兆円でした。32兆円の増加発行しかしていません。
(↓11年12月:141兆円 ) これが、円高の原因です。

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2011/ac111220.htm/
(↓08年8月:109兆円)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2008/ac080810.htm/

日銀が信用拡大を全開にしたのは、1997年の金融危機から2000年まででした。その後は11年間で上記の30兆円程度でしかない。理由は、これ以上国債を買い上げ通貨を増発すれば、外為市場で円が売られ、円の信用下落になると思っているからでしょう。

この点は欧州のECB(ユーロの中央銀行)も同じです。08年9月の米国発の金融危機が、欧州銀行の債券の下落に波及したため、FRBに準じて通貨増発を行っています。

欧州中央銀行(ECB)の総資産・負債は、$3.2兆(256兆円)に膨らんでいます。金融危機の前の2.6倍です。(ECB 2011年11月)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2008/ac080810.htm/

ECBの信用拡大は、先に述べた住宅証券の下落(推計500兆円)と、PIIGS債の下落(推計150兆円)のほぼ50%(575兆円)が、欧州の銀行の不良債券になっているからです。(注)この損害数値(含み損)も、まだ、明らかにされていません。

銀行に対しては、毎週、毎月の決済に不足するマネーを、その都度、ECBが住宅の不良債券と国債の買い上げという形で、貸し付けています。

PIIGS債では、2012年1月~3月の第一四半期に過去の国債で償還の満期が来る分が、15兆円もあります。ギリシア、ポルドガル、アイルランド、イタリア、スペインが15兆円の借り換え債を、新規に発行しても、買い手はない。金利が高騰し、PIIGS債は、更に下落します。(注)ユーロ国債全体では3か月で25兆円が満期。

借り換え債が発行できないと、PIIGS債はデフォルトします。満期が来た国債の償還と利払いができないことです。2012年1月~3月のPIIGS債の買い手は、ECBしかないでしょう。

中央銀行のECBが価値の下がったPIIGSの借り換え債を買い取れば、不良債券がECBに移転して資産内容が悪化するため、ユーロが売られているのです。

これが新年の1ユーロが100円を割れ98.6円(12年1月5日)に下落した原因です。原因はユーロ債の売りです。通貨相場は、ほぼ3ヶ月先を見て動きます(通貨先物の売買)。(注)同じユーロ建てですから、ドイツ債とフランス債も円やドルから見れば、下がっています。

通貨の下落は、その国からマネーが脱出することでもあります。ユーロ債売りで円債買いなら、ユーロ内のマネーが円に脱出したことになる。

中央銀行がユーロを印刷しても、ユーロの民間経済の、マネー・ストックの増加にはならないのです。逆にユーロ内のマネー・ストックが、マネーの脱出のため、国外に逃げてしまう。これが、1980年までの、外貨の売買が規制されていた時代との違いです。

世界の1日での為替取引(外貨の交換)は、500兆円規模と巨大です。
円とドル間だけでも、58兆円(11.6%のシェア)です。中央銀行がマネーの増発をすることは金利を下げることでもあり、外為市場では、「その通貨の価値の下落」と認識されるように変わっています。

ECBが、市場で売れないPIIGS債を買い取れば、ユーロ債の持ち手は怖くなって売り、ドル債や円債を買うのです。これがユーロの下落です。(注)市場の連れ買いで、ドルのように通貨が上がる時期もあります。

◎こうしたマネー脱出によって、中央銀行のマネー印刷の効果が、減殺されます。中央銀行のマネーの増発額以上に、瞬間に、マネー脱出が起こると考えておいていいでしょう。

根にあるのは、1秒で3000回売買できるロボット・トレーディングです。普通ロボット・トレーディングのプログラムは、下げが下げを加速する構造になっています。

外為市場(ほぼ25%)、国債市場(ほぼ50%)、株式市場(ほぼ60%)は、同時にロボット・トレーディングの時代です。レバレッジ、先物、オプション、デリバティブ、そしてロボット・トレーディングの、6重奏です。罫線を見て売買する現物取引の時代とは、まるで変わっています。

変動相場で外為市場が大きくなった後の金融・経済モデルを示す「マンデル・フレミングモデル」は、中央銀行が、金利を下げ、量的緩和もして信用を拡大すれば、そのマネーが、巨大化した外為市場で売られて通貨が下がる。通貨が下がれば、いずれ、その国の輸出が増え、経済は回復に向かう。このため、金融緩和や量的拡大による経済効果はあるとしています。

(注)変動相場の中での国債発行による政府財政の拡大は、その国の金利が上昇し、金利が高い通貨は、金利が低い通貨から買われ、通貨が上がるため輸出が減って、景気浮揚の効果がないとしたのも「マンデル・フレミングモデル」でした。1990年代の、政府財政の毎年40円の拡大(公共事業)がありつつも円高だった日本がこれに該当します。

しかし上記の中央銀行の信用拡大の効果は、普通の経済の時です(平常時)。金融危機の非常時には、これが言えない。

不良債券で銀行の損失が大きな時期には、信用拡大で印刷したマネーが逃げてしまい、通貨と債券が下落するので、金融危機は却(かえ)って深まってしまうからです。

中央銀行と政府が、マネー政策として頼拠(らいきょ)しているように見えるマンデル・フレミングモデルは、銀行の不良債券が巨大化した経済を、見落としています。

■5.米ドルより、ユーロが下がっている理由:そして円

円を基準として見たとき、2011年での米ドルは、11年4月の高値85円付近から12年1月3日の75.6円まで、11%の下落です。

他方でユーロは11年4月の120円付近から、1月5日は98.6円です。18%の下落です。米ドルよりユーロが下がった理由は、米ドルには、まだ日本、中国、新興国からの買いがあるためです。

たとえば日本政府は、円高対策として、11年11月に(効果がなかった)4.5兆円の、緊急のドル買いをしています。中国も、ユーロ債を売って、ドル債に振り替えています。元高は、中国の輸出にとって困るからです。

円債は、ユーロ債、ドル債の代わりに、買われています。前稿で取り上げましたが(<回顧と展望:570号:111228>)、2011年6月から11月の半年で、円国債(主は3ヶ月内満期の短期債)が、合計で72.2兆円もが、外国人から買い越されています。

▼日本の長短公社債の、売買金額:投資家別概算(再掲)
                    (注)プラスは買い超、マイナスは売り超

     2011年6月  7月    8月   9月     10月  11月     半年計
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
銀行等   17.5    13.1  12.1   18.2   8.0    15.8   84.7兆円
投信等    3.7     3.2   2.7    2.4   2.8     3.3   18.1兆円
外国人    8.1    11.3   17.4   9.7  11.0    14.3   72.2兆円
政府等   -24.5  -27.1  -34.6  -26.3 -23.1  -28.7  -163.9兆円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(注1)主要な主体のみの概算合計のため、売買の総計はゼロになっていない。
(注2)銀行等は、日本の都銀・地銀、信託銀、農林系、第二地銀、信用金庫、生損保の合計売買額を示す
(注3)投信等は、日本の投資信託、官公庁の共済組合、事業法人
の合計。個人の売買額は、無視できるくらい小さい。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LWH73V1A74GR01.html

2011年の異常な金額に思える外人による円債買いが、日本の国債金利を下げ、円高をもたらした原因です。

外人の日本国債買いは国内の金融機関のような「長期保有」ではない。短期債の短期売買です。たとえば3ヶ月債は、発行の3ヶ月後には、日本政府が、円で償還せねばならない。

外人投資家(主体は、ヘッジ・ファンドと新興国の中央銀行)の買いは、市場で売らずとも、買って3ヶ月間保有すれば、円での償還があるため、外為市場で円が売られたのと同じことになるのです。

2012年は、いつまで、この外人の円国債の買い超が続くか?

6ヶ月で買い超してきた72兆円の短期国債を、
・そのままにしておくか(円が償還される)、
・あるいは売り超に転じれば、どうなるか?

72兆円分の、外人から売られる短期国債を、国内の金融機関が増加買いすることは不可能です。財政の赤字で新規に発行される国債の引き受けが、ほぼ50兆円はあるからです。日銀の、緊急買い受けになるでしょう。

円高は、経済界(経団連)の願望通り、そのとき終了します。

◎ところが、円高が終わった時は、今度は、ちょうど今のユーロのように、円国債の価格に下落が起こります。円高の終了は、円が海外流出することだからです。(注)「円債売り→ドル債買い」になるでしょう。

日本の政府財政は、2011年中にほぼ100兆円分も買い越された円国債が外人から売られれば、期待金利がわずか2%上がっただけで、既発国債(約1000兆円)が10%は下がります。

低金利の国債は、国債価格の過剰評価、つまり、国債の価格バブルを生むのです。バブルは、金利が正常化(3%になること)すれば、崩壊します。

このとき、100兆円の不良債券が、国内金融機関に発生してしまうのです。国内の金融機関も、損を怖れて売りに転じることになる。

◎金融市場は、まだこの、外人による国債債売りの、可能性の認識
をしていないように思えます。

なぜ、日本の増発され続ける国債の金利が、短期債で0.15%、長期債で1.03%と、(異常に)低いままなのか。原因を調べていて、2011年の外人買いのデータに遭遇したのです。

どう考えても、2012年も外人が円国債を買い越すとは思えません。
ポートフォリオ(分散投資)での円債の、保有ポジションが、100兆円は大きくなっているからです。どうお考えでしょうか?

日本経済(政府と金融機関)にとっては、PIIGS債の償還が増える2012年の1月から3月までに、ユーロ危機が深刻になって、ヘッジ・ファンドからユーロ債が更に売られ、その資金で円債の買い超が続き、円高($1=70円;1ユーロ=80円等)になることが望ましい。

円高は輸出の製造業(輸出額で1ヶ月6兆円:年間72兆円)にとっては、円での売上が減って、困る事態です。しかし、国債を売る政府財政にとっては好ましいのです。通貨は、「多角度から」みなければならない。

世界で、毎日の経済ニュースのトップとして、通貨変動が報じられるのは、1日で500兆円もの世界の外為市場で、通貨価値が日々変動していて、それが経済に大きな影響を及ぼすからです。

■6.10年スパンでの、デ・レバレッジの時代に向かう

銀行の不良債券が巨額化し、事実上では自己資本が消えた時期に、世界の中央銀行の中央銀行であるBIS(国際決済銀行)は、世界の銀行に対し、自己資本比率を上げることを要求しています。

(注)米国の銀行に対しては、BISの傘下であるFRBが、第一段階として、リスク資産に対する中核的自己資本の下限を5%超にし、2019年までに、その下限を、7.0%~9.5%に上げることを決めています。

同時に、現在は「安全資産」として、時価評価を逃れている国債に対しても、AAA格から落ちたものを、BISはリスク資産にするということも、言っています。世界でAAA格は、英、スイス、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア債です。米国債は昨年8月から下がってAA+ 日本債、中国債はAAマイナスです(S&P:2011年)。近々、フランス債と英国債も下がるでしょう。

格付け機関の「いいかげんさ」は、サブプライム・ローンを含んで証券化したデリバティブ(MSB、RMSB、ABC)のシニア債をAAA格としたときから露呈しています。

しかし実際には、年金基金等が買うときは、安全なAAA格の証券に限定されます。格付けが下がると、保有する国債を売らねばならない。会計監査ではねられるからです。

米欧の年金基金(Penshion Fund)は、巨大な機関投資家であり、国債や、米国で多い州債(地方債)の買い手です。国債も、買い手が少なくなれば、下落し、金利が上がります。格付けの下落は、市場での国債の買い手にとって、大きな問題なのです。

デ・レバレッジは、金融機関の自己資本に損害が生じ、銀行システムの信用創造力が減少したとき生じる「信用恐慌」です。具体的には、銀行が貸付金を減らすことを迫られて、同時に、価格変動がある証券(株や社債)とAAA格以外の国債を売ることになる。

結果は民間のマネー・ストックが減少です。マネー・ストックが10%も減れば、実体経済の投資と購買も急減し、100%の確率で恐慌になります。信用恐慌といわれるものがこれです。

【銀行の損失とマネー・ストックの急減】
リスク資産(貸付金と証券)を100兆円もち、自己資本が8%(8兆円)あった金融機関に、仮に3兆円(3%)の損が生じたとします。この銀行は、いくらのリスク資産を減らさねばならないか?

自己資本が5兆円に減って、8%の自己資本比率にしなければならない。5兆円÷8%=62.5兆円です。

結果は[100兆円-62.5兆円=37.5兆円]の貸付金回収と、国債、社債、株の売りです。マネーストックが37.5兆円(37.5%)も減ることと同じです。

3兆円の損害で、12.5倍の37.5兆円の信用収縮です。デ・レバレッジによる信用恐慌になります。1000兆円の不良債券に対し、デ・レバレッジが起これば、もうそれはマネーの消滅です。デフレ型恐慌どころの騒ぎではない。

日本のバブル崩壊期(1990年~)にも、BISは国際業務を行う日本の銀行(都銀)に対して、8%の自己資本を要求しています。これが、銀行が企業と持ち合っていた株の(継続的な)売りを生み、貸付金の回収も生んだのです。

ただし当時は国債は安全資産とされていました。このため日本の銀行は株を売り、同時に貸付金を回収で入ってきたマネーで、国債を1年に40兆円も増加買いしていたのです。国債が増えた原因は、超低金利債が安全資産とされて銀行、保険会社、郵貯・簡保に売れていたからです。本来は、国債金利が3%くらいに上がって、政府財政の拡張に歯止めが必要だったのです。

(注)BISによる「AAA格を落ちた国債をリスク資産にする」という発令は、まだ出されていません。予告の段階です。

BISの自己資本規制を守ることができない銀行は、国際業務(海外銀行との貸し借りや外為業務)ができなくなるため、事実上の破産状態になります。

◎BISやFRBが、なぜ100年サイクルでの、1929年を超えることが想定される世界の金融危機の時期に、銀行の自己資本を高める規制を強化するのか、理解不能です。世界を、意図的に、信用恐慌に陥れる策としか思えません。

現在の、不良債券を巨額に抱えてしまった世界の銀行に、自己資本比率を高めることを要求すれば、信用恐慌を生んで、マネー・ストック(世界ではGDPの3年分;1京5000兆円)を急減させることは、100%わかりきったことだからです。実行しないことを言う、リップ・サービスなのか?

BISが、世界の中央銀行が売ってきたゴールドを買い占めた金融一派(デル・バンコ)に支配されているとすれば、暴落した世界の銀行株と国債を、底値で買い、その後の世界の金融を、支配するためと思えます。恐慌は、株と国債の底値での買い手にとっては、未曾有のチャンスになる。

(注)東京が、米軍の空襲に襲われ、燃えさかっている最中に、二束三文で、宮家の土地を買い漁ったのは、西武グループ(提康次郎氏)でした。戦後の、物価・資産が300倍に上がったハイパー・インフレで巨大資産になっています。東日本大震災のあとにも、小規模ですが、仙台等でこれが見られます。

銀行の国有化と言っても資金源は国債です。暴落しているギリシア債を更に下げ、底値で買えば、その後のギリシアの金融を、国債を買ったところが支配できます。国債に価格がつくのは、売り手と買い手が、同量あるからです。買い手は、誰になるか・・・です。

米国発の1929年からの世界大恐慌でも、ある銀行による株、不動産、国債の底値買いがあり、10年後の回復期には巨大資産になったのです。恐慌の時期は、5年や10年後を長期で見る必要があります。

【後記】
新刊書『国家破産:これから世界で起こること、ただちに日本がすべきこと』が、ほぼ日替わりでアマゾン等では在庫の欠品を繰り返しています。購入予定の方々には、ご迷惑をかけていることを、お詫びします。すぐ、補充されるはずです。
http://www.amazon.co.jp/?tag=hydraamazonav-22&;hvadid=4677461822&ref=pd_sl_909gv786j_e

本年も、よろしくお願いします。良質な論考をおとどけすべく努めます。怠(なま)けていた本を書くことも、目標にします。3つの出版社に約束しながら、日々の原稿にまぎれ、反古(ほご)にし、守っていませんでした。

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このブログ記事を参照しているブログ一覧: デ・レバレッジ動乱の2012年への展望 2012.01.24.

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